関西のある電子部品メーカーでは年に2回、全世界の部長クラスを15名程度育成するGBLプログラムを実施しているが、毎回社長は複数日に渡って研修に頻繁に顔を出し、参加者全員と直接対話する時間を設けている。毎回5日間のプログラムであるが、社長の参加は毎回延べで2日以上になる。この電子部品メーカーの場合、次世代の海外現法のリーダーシップポジションをなるべく早く現地の人材に任せたいという意図もあり、社長自ら参加者一人ひとりの能力と人間性を理解しようとしている努力がよく見える。一方で、参加者にとってはトップの人間性に直接触れることができる機会になり、このトップのためならば一肌脱ごうと彼らのモチベーションは大きく高揚する。

効果的な育成プログラムにするために

 GBL育成プログラムに参加したマネジャーたちの反応は、日本人、外国人ともに概して良好である。多くの企業ではこれまで上記のようなプログラムがなかったこともあり、特に海外からの参加者にとってはそもそも本社を訪問できたことだけでも大きなインセンティブになっている。写真でしか見たことのないトップマネジメントと直接会って話ができることや、世界各国から来ている現法のキーパーソンとのネットワークが築けるということも好意的に受け止められる要因になっている。

 一方で、GBL育成プログラムに参加させることは参加者の期待を高めることでもあり、プログラムの後のフォローアップをしっかり行わないと、逆に彼らのモチベーションダウンに繋がり兼ねないリスクもあることを忘れてはならない。


(注1)「グローバル・ビジネスリーダー(GBL)育成の現状と課題」企業と人材2013年9月、10月(上赤坂、大滝)

(注2)「グローバル・リーダー人材育成に関する一考察」早稲田ビジネススクール専門職学位論文(鯨井美穂)