4つのグローバル化スタイル
ハーバード大学のクリストファー・バートレット教授は、ロンドン・ビジネススクールスのマントラ・ゴシャール教授らとの研究を通じて、グローバル化する企業の組織形態の分類を行った(図表2)。彼らは、企業が海外市場において製品やサービスをどの程度現地化するかという要因と、グローバルで組織プロセスをどの程度標準化するかという要因をX軸とY軸にとり、2×2のマトリックスを設定することで、グローバル企業の形態を4つのモデルに分類したのである。 以下ではそれぞれのモデルを解説する。
① インターナショナル企業
このモデルは、企業が海外と商取引を始める初期段階で多く見られる輸出型の組織形態である。海外との商取引を始めたばかりの企業の多くは、現地に駐在員事務所や支店を設立する。そして、そこを通じて本国で作られた製品を輸入し、現地代理店や問屋などを介して現地で販売する。母国マーケット用に作られた製品を現地マーケットに合わせてカスタマイズすることなく、そのまま海外に持って行くやり方である。
本社マネジメントの関心はあくまでも母国マーケットと本社オペレーションであり、本社にはグローバルなオペレーションを運営するという意識もその能力もないことが多い。コアコンピタンスは本社に属し、本社で開発されたナレッジは駐在員事務所や支店に移管されるが、製品に関わるナレッジ以外は代理店、問屋にまで到達することはない。