アジアのホワイトカラーの特性
アジア化を通じてグローバル化を目指そうとする日本企業にとって、アジア人材の活用の重要性はますます高まる。希少な優秀人材をめぐっては欧米発のグローバル企業や中国などの新興国発グローバル企業だけでなく、存在感を増しているアジアの地元企業も日本企業の競争相手である。その第一歩としてアジアの人材の特徴をしっかり掴んでおくことが重要となる。
図2に示したようにASEAN6カ国にインドを加えた7カ国で行ったキャリア調査では、31~35歳の年齢層のホワイトカラーの平均勤続年数はおおよそ4年である。一般的にアジアのホワイトカラーは、大学卒業後、30代半ばまで、2~3社の転職を繰り返すことでキャリアアップ、すなわちポジションと収入を上げていく傾向があり、日本人駐在員が現地スタッフをジョブホッパーと呼ぶのも無理はない。日本の大卒とは行動パターンが全く異なるのだ。
図3は彼らに「生涯の転職回数」について尋ねた結果である。自らのキャリアを成功させていくためにはなんと5社以上に転職が必要だという人の割合が38%と一番多かったのである。この調査結果で、アジアのホワイトカラーの志向として、転職を繰り返すことでキャリアアップを図っていく考えであることが裏付けられた。
一方で彼らがどのような最終キャリアを目指しているかを聞いてみたところ、圧倒的に多かったのはビジネスオーナーで、なんと全体の3分の1であり、まさにアジアのホワイトカラーの独立志向の高さがうかがえる。将来独立をしようとする社員は一般的に「向上心が高く、学習意欲も旺盛である」、「たくさんの経験を積もうと、困難な仕事にも進んでチャレンジする傾向が強い」、「サラリーマン根性がなく、成果達成に対する意欲も高い」、というようなプラス面は、日本企業にとって大いに活用できそうだ。