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不透明なマーケティング支出と収益性の因果関係
マーケティング・ミックス、すなわち潜在顧客と既存顧客にリーチし、サービスを提供する各種方法に、経営資源をどのように配分するかという判断は、意思決定のなかで最も難しい部類に入るだろう。
新製品には多めに、ブランディングには少なめにコストを傾けるべきか。販促よりも顧客サービスの改善に力を入れるべきか。あるいはこれらすべての支出を削減し、インタラクティブ・メディアへの広告宣伝費を増やすべきか等々──。
費用対効果を最大化する最適な組み合わせがあるだろうことは、直観的にはわかっている。しかし、それをなかなか公式化できないことに大きなフラストレーションを抱えているのではないか。もしそうならば、それはあなただけの悩みではない。あなたの上司たちも同じように思い悩んでいる。
マーケティング支出へのアカウンタビリティ(結果への説明責任)を求める声は年々強まっているが、それも無理はない。新製品の大半が失敗に終わり、また主に販促目的の値引きの乱用によって、多くの消費財ブランドがその魅力を失っていることは、調査からも示されている。
ペンシルバニア大学ウォートン・スクール教授のレナード M. ロディッシュが実施した数々の市場実験の分析によると、広告宣伝費の増加によって売上げが増えるケースは、既存商品で33%、新商品でも55%にすぎないという。広告宣伝費だけでも平均で売上高の約3%を占めていることを考慮すると、マーケティングの非効率性が利益に累を及ぼすことは明白である。
マーケティングのアカウンタビリティが難しいのは通常、マーケティング支出と業績の因果関係がはっきりしないためである。ただしここ数年、少なくとも一部の産業では大きな進歩が確認されている。
プロクター・アンド・ギャンブル、クラフト・フーズ、コカ・コーラといった消費財メーカーは、マーケティング効果を評価する、特にデータに基づいて客観的に評価する手法を開発している。
これらの企業には、データが豊富にそろっており、また短期的な売上げと利益が業績のバロメーターになる事業でもあるため、マーケティング施策の売上高への影響を追跡し、最も効果的な施策に経営資源を傾斜配分する分析モデルを開発できたといえる。