ボトムアップからの学習促進
学習意欲を持つ個人が、ワークフローの中で学ぶにはどうすればよいか。今日からできる実践的な方法を、いくつか紹介しよう。
●メタ認知とマインドフルネスを実践する
日々の業務に取り掛かる際に、自分の認識のあり方をさらに高次から客観視すること(メタ認知)、そして目の前の瞬間を意識して気づきを得ること(マインドフルネス)を実践してみよう。これにはさまざまな効果があるが、学習と能力開発が促進されることもその1つである。
たとえば、調達のエキスパートと交渉を行う際、ただその場にいて話を聞くのではなく、やり取りの中で相手の戦術とテクニックに意識を向け、それを学ぼう。プロダクトマネジャーには製品の特徴を尋ね、営業担当者からは業界のトレンドを聞き出し、同僚には自分のプレゼンテーションのスキルに対する感想を求めてみよう。
このような問いかけが学びの体験となり、ほとんどの同僚は自分が知っていることを喜んで教えてくれるはずだ。
●学習リストをつくる
人は毎日たくさんの学ぶ機会を体験するが、メタ認知によって、さらに多くの学習機会に気づくようになる。だが、他のことをするのに忙しく、そのような機会を手放さざるをえないことも多い。だからといって、チャンスを無駄にしてよいことにはならない。
自分が探求したいと思うコンセプトやアイデア、慣行、語彙などを書き留め、ブラウザにブックマークし、自分の学習リストに追加しよう。そうすれば、後でわずかでも振り返る時間ができたとき、それらを調べることができる。
私(ジョシュ)の場合、学びたいことを常にブックマークし、時間の余裕ができたとき(たいていは1日の終わり近く、疲れているとき)、その記事を読んだり、体験版を試したりする。あるいは常々もっと上手くやりたいと思っていることを、あれこれ探ったり試したりもする。これは個人的で見返りの多い体験であり、その気になれば誰でも時間を見つけることができる(通勤中など)。
●作業中に高度なデジタル機能を活用する
Googleドキュメントの「データ探索」に類するデジタルヒント機能は、文書の内容・文脈に関連した調べものをする際に役立ち、フォーマットの作成や分析に関する助言も提供してくれる。このようなインライン型のアドバイス機能は、Microsoft Officeの初代アシスタントで悪名高いペーパークリップのアニメーション、「クリッパー」の頃から大きく進化している。
こうしたアドバイス機能を歓迎し、そこから何であれ学ぶべきだ。Microsoft TeamsやSlackのようなツールが職場でますます普及する中、この種の機能は今後も増えていくだろう。
●学習に専念する時間を勤務スケジュールに確保して書き込む
自分にとって学ぶことがいかに大切かを、職場の人々に理解してもらおう。1週間の勤務スケジュールで、どの程度の時間なら無理なく学習に専念してよいか(たとえば1時間)、上司の合意を得るとよい。その学習時間をスケジュール上に確保・設定し、遵守しよう。
●良質で目的にしっかり見合ったニュースレターを、厳選して購読する
自分の役割や業界、性格に適したニュースレターを慎重に選ぼう。質と関連性の両方が高いものは、最終的には少数に限られてくるはずだ。それ以外は購読を解除しよう。
●実際に業務が生じる学習チャネルで、積極的に、専門家らしく、思いやりをもって貢献する
業務が実際に生じる場は企業によってさまざまだが、我々が最も多く耳にするのはSharePointやSlack、Teamsの利用者間で業務が決まるというケースである。自分の会社に学習チャネルがなければ、ぜひつくるべきだ。
そのようなプラットフォームで新しい情報や興味深い情報を同僚にシェアする際、URLをペーストするだけで済ませてはならない。なぜそれをシェアしたのかを理解してもらえるよう、そのコンテンツが「何について書かれているか」「なぜそれが重要なのか」を説明しよう。
さらに重要なのは、それが「誰のために役立つのか」である。その情報を確実に役立ててもらえそうな人だけにシェアしよう。こうした情報の共有は、同僚を助け会社に貢献するだけでなく、自分自身の学びを促進することにもなる。