ZBBの導入方法論とエッセンス(2)

4.ゼロベースの予算編成
 予算は原則、前年ベースではなく、単価×消費量に分解して積み上げ型でつくることを求められる。この解像度・精度をどこまで磨き込むかはケース・バイ・ケースである。実際数字をつくってみると経営側の目標に対して、各事業の積み上げの数字が上振れることが多く、社内交渉が発生する。ここで重要なのは、この交渉プロセスを理詰めで行い、事後に妥当性を検証できる仕掛けをつくっておくことである。一度この仕掛けをつくっておくと、不必要なコストの有無を点検できるとともに、期中に事業が上向いて必要コストが増えた場合にも前提変化を説明することでその妥当性を説明できるという利点がある。日本企業の多くは予算プロセスに相当な時間をかけて行っていることが多いが、十分な根拠づけがないまま、組織のパワーバランスなどによって決まってしまうケースも目にする。こうした意味では、このステップを乗り越えることが継続的な効果創出プログラムとして根づくための肝になる。アクセンチュアでは、このプロセスを確実に実行するための仕組みやツールを保有して支援している。

5.施策の実施
 パッケージオーナーが中心となって、経営判断でGoとなった施策をどのような手順でだれにイニシアチブを持たせて実行するかをしっかり決めきる。場合によっては施策の実行判断よりも苦難を伴うプロセスである。ここでは再び、パッケージオーナーと役員クラスの責任者(パッケージスポンサー)の連携が重要なキー・サクセス・ファクターとなる。また、効果創出までの時間は施策内容によって異なるが、すぐに効果が創出できる“クイックウィン”施策を盛り込むことで活動のモメンタムをつくることも重要である。

6.コントロール&モニタリング
 施策の実行状況と、それが費用削減につながることを毎月確認する。オペレーショナルKPIの定義・トラッキングは即効性があり、有効な手法である。予算に対する実績データを基に集計するのが最も理想的な方法であることは言うまでもない。しかし支出が内容に沿って正しい費目に分類される仕組み整備が並行して必要となるため、施策実行初期はこのやり方が有効でない場合もある。そこで、施策の実行・定着状況を図るための指標をオペレーショナルKPIとして定義・管理することで企図された施策が本当に実行されているかをモニタリングするのである。たとえば、印刷費用削減目標に対し、「カラー印刷の枚数・比率」の変化をトラックするといった具合である。