消費者は、持続可能ではない商品を買わないことで、意思表明をしている。

 レガシー企業で今後成功するのは、ペプシコやユニリーバのように、このトレンドを受け入れ、みずから方向性を修正する企業だろう。この2社はかつて、伝統的なブランドから離れていっているとして、CEO(ペプシコのインドラ・ヌーイ元CEO、ユニリーバはポール・ポルマン元CEO)が投資家の厳しい批判を浴びた。それでも経営陣は、ブランド改革を推し進めてきた。

 その一方で、変化を無視するメーカーは、敗北を余儀なくされるだろう。たとえばクラフト・ハインツは、投資家の圧力を受けてコスト削減を優先したものの、そのアプローチがかえって業績に打撃を与えた。消費者の好みは変化しており、「これまで40年以上うまくいってきた方法をいじる必要はない」というアプローチを取るのは間違いだ。

 一部の改革は、伝統的な商品を刷新することで実現できる。

 たとえばユニリーバが構築した「持続可能な生活(Sustainable Living)」ブランドは、いまや売上高の伸びの70%を占める。こうしたブランドは、自分の価値観にあったショッピングをしたいという消費者の関心を捉えている。マヨネーズで知られるヘルマンズも、米国市場向け商品には100%平飼い卵を使っている。

 消費財大手による持続可能なブランド買収も増えている。ユニリーバは、忠実なファンがいる洗濯用洗剤のセブンス・ジェネレーション(Seventh Generation)やヘアケア商品のサンダイアル・ブランド(Sundial Brands)、ハーブティーのパッカ・ハーブス(Pukka Herbs)など、忠実なファンを持つブランドを買収してきた。

 経営陣はもはや、「持続可能な商品には需要がない」というブランドマネジャーの主張を認めるべきではない。そして投資家は、持続可能な商品へのシフトをサポートすべきだ。消費財(と今後はアパレル商品など他のカテゴリーも増えていくだろう)の未来は、持続可能性にあるのだから。

 調査方法

 私たちは、商品のパッケージに含まれる、持続可能性に関する情報を調べた。具体的には、米農務省のオーガニック認証やフェアトレード認証といった第三者機関の認証のほか、好ましくない情報(遺伝子組換え、BPA、パラベン、抗生物質、成長ホルモンなど)と、好ましい情報(国内産、粗飼料、堆肥化可能、動物実験なしなど)を評価した。

 持続可能性の問題はカテゴリーによって異なる。このため私たちは、パッケージの情報が、その商品カテゴリーで重要な環境問題や社会問題と関係しているかを考慮した。たとえば、シリアルは原材料の大部分が穀物だから「植物ベース」という情報は重要ではない。これに対して洗剤で「植物ベース」とは、有害物質が含まれないことを意味するので重要な情報になる。極めて多用されるが具体的な意味を持たない「ナチュラル」といった語や、社会的大義や慈善活動に関する宣伝文句は考慮に含めなかった。

 2018年に「持続可能な商品」として販売されている商品は、2013年もそのように販売されていたと見なした。これは、全商品について2013年のパッケージを調べるのは不可能だからだ。実際には、多くのブランドが年々「持続可能な商品」を増やしているため、今回の調査結果で示した「持続可能な商品」の増加率は、実際を下回っている可能性が高い。

 なお、「持続可能な商品」として販売されている商品が、実際に持続可能かどうかは調べていない。本調査は、ある商品を「持続可能な商品」として提供することが、消費者の購入につながるかどうかに焦点を絞った。


HBR.org原文:Research: Actually, Consumers Do Buy Sustainable Products, June 19, 2019

■こちらの記事もおすすめします
持続可能性の取り組みは「戦略」になりうるのか
地球の現実:私たちに残された時間は約12年
投資家が「サステナビリティ・リスク」を検討すべき理由
ブラックロックCEOへの反発こそ的外れである

 

テンシー・ウィーラン(Tensie Whelan)
ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスの臨床学教授。同校サステナブル・ビジネスセンター(CSB)創設者でセンター長。

ランディ・クロンタル=サッコ(Randi Kronthal-Sacco)
ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスのサステナブル・ビジネスセンター(CSB)シニアスカラー。前職はジョンソン・エンド・ジョンソンの上級管理職。