日本の製造業は、IoTやAIを高度に活用できる潜在力がある
そもそも顧客先に納品した製品を誰よりも熟知しているのはメーカー自身だ。特に高品質のモノづくりにこだわってきた日本の製造業ならではの、細部の部品レベルに至る設計仕様、製造プロセス、改善履歴などの詳細な情報を豊富に有している。顧客先で稼働している機器からIoTの仕組みを通じて収集されるデータと突き合わせ、AIによって洞察を生み出すことが可能なそれらの情報は、サービス提供者にとってまさに喉から手が出るほど欲しい情報であるのは言うまでもない。裏を返せば日本の製造業は、まさにそのサービスを付加価値として提供できる強みをすでに持っているのだ。

鈴木氏の隣にあるのは、マイクロソフトが提供しているMR(複合現実)プラットフォーム用ヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」(ホロレンズ)。Dynamics 365との組み合わせで、すでに製造の現場での活用が始まっている。
そうした観点に立てば、日本の製造業にはIoTやAIに限らず、MR、ARといったテクノロジーをどの国の製造業よりも高度に活用できる潜在力がある。データを活用した新しいビジネスモデルでサービスを変革すればトップランナーに返り咲くことも可能だ。
だからこそ、その取り組みを部分最適に閉じるのではなく、経営視点で全体を俯瞰しつつビジネスを再考する必要がある。一部のプロジェクトや機能に限定されたマネタイズではなく、ビジネス視点でデータを有効活用し、投資対象を定めてサービスの事業化を推進していくことが重要だ。部分最適は一時の小さな益にとどまり、持続的なビジネスの収益化につながらない。IoTや、AI、MR、ARといったテクノロジーについても、製造業がそこに投資すべき目的をいま一度洗い直して再構築するビジネス視点が必須となる。これが日本の製造業がイノベーションを遂げていくための基本シナリオである。
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