デジタルトランスフォーメーション(DX)は、業界業種を問わず世界中のあらゆる企業にとって喫緊の共通課題である。グローバルで先進的にDXを実践している企業は、具体的にどんなことに取り組んできたのか。そして日本企業は今、生き残るために何を成すべきなのか。米マイクロソフトでデジタルトランスフォーメーション関連のサービス部門を率いるPaul Mirts副社長にお話を伺った。

Microsoft Services
Business Applications
Vice President
Paul Mirts氏
グローバル市場における先進企業のDX成功事例
――Paulさんが統括されているサービス部門の役割を教えてください。
Paul Mirts:グローバルで約1万2000名の従業員がおり、コンサルティングサービスとユニファイドサポートサービスを2本柱とするサービスを提供しています。お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みをサポートすることがミッションです。お客様の事業の要件を伺い、マイクロソフトのソフトウェア製品やサービスを使って課題解決を図り、ビジネス目標を実現していきます。
――どんなソフトウェア製品を活用するのですか。
Paul Mirts:クラウドプラットフォームであるMicrosoft Azureで提供しているSaaS型ビジネスアプリケーションのDynamics 365、オフィス製品のOffice 365などが中心となります。これらのソフトウェアをお客様ご自身で使いこなし、独自にDXを推進していくのはやや難しい面もありますので、マイクロソフトがこれまでさまざまなビジネス分野で実践してきたDXのベストプラクティスをご提供し、お客様に最適なソリューションを実現します。

――マイクロソフトがDXを支援してきた企業について、グローバルでの事例をご紹介ください。
Paul Mirts:PCやプリンターなどの製造販売を行っているHP様に対して、大きく3つの分野のDXをサポートしました。
まず1つめは「フィールドサービス分野」です。ユーザー先で自社製品が故障した際に修理や部品交換を行う、サービスエンジニアの派遣プロセスをモダナイズ(*)しました。次に「カスタマーセンター分野」です。顧客から電話やメール、チャットで寄せられた問い合わせに対して、正確な回答を迅速に返すことがカスタマーセンターの至上命題であり、そこで働くオペレーターが、効率的に対応できるシステムを構築しました。問い合わせてきた顧客の基本的なプロファイルのほか、過去にどんな製品を購入しているのか、どんな環境で製品を使用しているのか、これまでにどんなリクエストを寄せてきたのかといった履歴情報をその場で確認し、的確に回答することができます。そして3つめが「営業分野」です。HP様の製品がユーザーの何を満足させ、何が求められているのか――。顧客の潜在的なニーズへの理解を深めるシステムを構築しました。
注:モダナイズ*――業務で使われてきたレガシーシステムを、最新のハードウェア/ソフトウェアによって構築されたシステムに置き換えること。
――マイクロソフトのソフトウェア製品は、これらのDXを支援する中で、どんな付加価値を提供したのでしょうか。
Paul Mirts: Dynamics 365は非常にリッチなレポーティングの機能を有しており、そこにBI(ビジネスインテリジェンス)ツールのPower BIや、Azureが提供している各種AIサービスを組み合わせたデータ分析を行うことで、お客様にかつてない知見や気付きを提供することができます。これこそが、マイクロソフトのソフトウェア製品のテクノロジーの優位性を生かした最大の付加価値だと考えています。