環境変化への対応策として
3SBUへ組織改編

戦略コンサルティング本部
顧客戦略グループ アジア・パシフィック統括 マネジング・ディレクター
石川 雅崇
同志社大学卒業後、1995年にアクセンチュア入社。ノースウエスタン大学経営大学院(ケロッグ校)アドバンスド ビジネスマネジメント プログラム(エグゼクティブMBA)修了。現在は、成長戦略領域のアジア・パシフィック統括として、デジタルによる企業成長戦略や新規事業戦略の立案、企業変革を推進。グローバルにおけるアクセンチュアの知見/論考を取りまとめるデジタル編集委員の一人。早稲田大学客員教授。「サーキュラー・エコノミー:デジタル時代の成長戦略」(日本経済新聞出版社)監訳。
石川 我々の調査でも、「こだわっていることに関しては、もっとお金を払っていい」という消費者が半分以上いることが分かっています。幅広さよりも深さを求める傾向が出てきています。カインズでは、ライフスタイルをはじめとして、こだわりのある顧客が、自分の「こだわりのモノ」を探しに来店されることも多いのではないでしょうか。
カインズは2018年3月、創業以来最も大きな組織改革を行い、3つの事業部に再編しましたね。
高家 はい。従来は、「生鮮食品以外は、ホームセンターに行けばだいたい何でもそろっている」というのが強みでした。それはまさしくモノが足りない時代、モノを欲しい時代には最適なビジネスモデルでした。しかし、現在のようなモノがあふれている時代は、「何でもあるようだけど、自分の欲しいものが実はないよね」という声があるのも事実です。
お客さまの期待する価値に対応しきれていない。そこに我々の本質的な課題があると思っています。
そこで、これまでの「品番単位の商品別組織」から「顧客提供価値をベースとした組織」へと大きく括り直しました。
まず「ライフスタイル」。生活をより良くしたいと考え、自分のライフスタイルに合わせた「こだわりのモノ」を探しているお客さまへ生活をより良くするための価値を提供する部門です。
次に「日用雑貨」。日常的に消費する商品については、こだわりよりもむしろ便利に買いたいとか、すぐに買いたいとか、効率的な購買行動という価値を提供する部門です。「ライフスタイル」とは異なる価値になるので、全く違う戦い方をしなければなりません。
そして「プロ」。ホームセンターですから、多くの職人さんが来店します。職人さんは、とにかく今日の現場で必要なものを必要な個数だけ、できるだけ早く、安く買いたい。いわゆるQCD(quality, cost, delivery:品質、価格、納期)の価値を提供する部門です。
このように、ホームセンターを一つに捉えるのではなく、顧客提供価値に応じて考えようということで、3つのSBU(Strategic Business Unit)に再編しました。