体系的な会議の効果

 体系的な会議では、議論を要する個々のテーマについて、参加者らは意図的かつ明確に、問題解決の1つのステップを選び、完了していく。

 以下は、直感的な会議を体系的なものへと変える方法である。

 まず議題に目を向け、各議題の右側に、答えへの足掛かりとなるステップ(問題解決の5つのステップのいずれか)を書き入れる。合わせて、そのステップで達成すべき測定可能な成果も書き記す。

 その後、会議でその議題を議論している間は、その成果の達成のみに集中する。そのステップを達成したら、次に進む。

 問題解決のどのステップを選べばよいか迷うときは、以下の問いを考慮しよう。

 ●解決を目指している問題について、自分たちは完全に理解しているか?

 その問題を他者に対して明確に説明できないならば、自分が思っているほど理解できていない可能性が高い。その場合は、一連の答えを生み出す前に、今回の話し合いでは問題の定義(ステップ1)のみに時間を費やし、最後に問題を簡潔に明文化して、締めくくるとよい。

 ●答えの候補を十分に用意しているだろうか?

 グループは問題が何かを理解しているが、一連の潜在的な答えをまだ生み出していない場合は、それこそ次にやるべき作業である。質の高い選択肢を、できるだけ多くひねり出すことに集中しよう(ステップ2)。議論の終了時に出そろった選択肢が、開始時よりも少ししか増えていなくても、それは重要な進展だ。

 ●挙げられたさまざまな答えの、長所と短所を把握しているか?

 答えの候補がすでに出そろっているならば、今度はグループでそれらを検証するのが、最適な時間の使い方だ(ステップ3)。参加者には、最終決定を下す義務を課さず(その準備はまだできていないかもしれない)、さまざまな選択肢の長所と短所を列挙することにのみ集中させよう。

 ●さまざまな答えについて、グループは議論に十分な時間を費やしたか?

 イエスの場合は、答えの選択に入ろう(ステップ4)。これは往々にして難しい作業となる。最終的な決定は、もちろん必ず明文化しておきたい。

 ●答えはすでに選ばれているか?

 ならば今度は、実施計画の策定に集中しよう(ステップ5)。話し合いの終了時に、「取るべきアクション、担当者、期日」をまとめたリストが完成していれば、大いに有益な成果として喜んでよい。

 ダメな会議のほとんどは、怠慢なリーダーや権力を誇示したいリーダーが原因ではなく、自分勝手な参加者のせいでもない。むしろ、関わる全員が単純な間違いを犯しているゆえである。

 個人での問題解決では頼りになる直感的なやり方を、集団でもうまく展開できると、人々は思い込んでいる。しかし多くの場合、それはうまくいかない。必要なのは、1度に1ステップずつ達成していくという目標を明確に意識した、体系的な会議なのだ。

 たしかに、1つのステップだけを達成するのは、やや物足りない――巨大なマンモスから、小さく一口かじるようなものだ――と思う人もいるのは筆者も承知だ。しかし、体系的な会議を試してみれば、えてして重大な気づきを得ることになる。すなわち、どれか1つのステップを(たとえ序盤のステップでも)しっかり達成すれば、そこから飛躍的に前進できる場合が少なくないのだ。

 時には問題解決サイクルの最終ステップにさえ、一気に到達することもある。几帳面で知られたスティーブ・ジョブズが、かつて言った通りである。「問題を正しく定義しているのであれば、答えは見つかったも同然だ」


HBR.org原文:Why Groups Struggle to Solve Problems Together, November 07, 2019.

■こちらの記事もおすすめします
会議の生産性を上げるにはデザイン思考を取り入れよう
時間を無駄にするだけの会議を避ける5つの方法

 

アル・ピタンパリ(Al Pittampalli)
モダン・ミーティング・カンパニー創業者。著書に『次の会議までに読んでおくように!』『すごいヤツほど上手にブレる』などがある。