
アマゾンのジェフ・ベゾスはインドを訪問した際、2025年までに10億ドルを投じ、同国に大量の雇用を生むことを約束した。きわめて好意的な提案に見えるが、政府も市民もこれをまったく歓迎しなかった。街では「ジェフ・ベゾスは返れ」のプラカードが掲げられ、「経済テロリスト」という強烈な非難の声も上がった。インドはなぜ、国を挙げて巨大プラットフォームの進出を拒否したのだろうか。
発展途上国は通常、自国への投資と雇用創出を約束してくれる多国籍企業のCEOを、温かく迎えるものである。
ところが、ジェフ・ベゾスの先頃のインド訪問は、散々な形で迎えられた。抗議行動が起こり、商工大臣は敵対的な意見を述べ、モディ首相は面会を拒否したのだ。2025年までに10億ドルを投じ、大量の雇用を生むとベゾスは約束したのに、なぜこうした事態が起きたのだろうか。
これは、インドの民主主義の少なくとも一部分から発せられた、1つの強く、明確なメッセージであると筆者らは考えている。すなわち、伝統的な商業を破壊する多国籍企業、しかもそれを不公正と思われる取引慣行によって情け容赦なく実行する相手を、この国は歓迎するつもりはない、ということだ。