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新型コロナウイルス感染症の大流行は世界経済に破滅的な打撃を与えており、これから何が起きるかは誰にもわからない。企業がパニックに陥り、身動きできなくなったり、半狂乱で行動したりするのも無理はないが、それでは従業員に不安を与えるだけだ。いまこそ、従業員の意識をブランド・パーパスに向けて、ビジネスを前進させるべきである。本稿では、それを実践する4つのステップを紹介する。


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、世界経済はものの数週間で壊滅的な打撃を被った。株式相場は下落し、企業収益は急激に減少している。このあと何が起きるかわからないという恐怖感もある。

 こうした状況で、企業がパニック状態に陥るのは意外でない。凍りついたように身動きできなくなったり、逆に、どうにか生き残ろうとするあまり半狂乱になったように行動したりする。

 このような危機と逆境の時期、従業員と取引先と顧客は、企業のリーダーが安心感と励ましと勇気を与えてくれることを期待する。それを頼りに、試練を乗り切りたいと思うのだ。

 しかし、そうした期待に応えることは難しい。人々に心からの感謝の気持ちを伝え、健康を祈るメールを送ることは、そのための最初の一歩にはなりうるが、それだけではとうてい十分でない。

 現在の状況は理想的にはほど遠いが、いま最も実行しやすいのはどのような活動かを考えてみるとよい。これまで通りのビジネスが不可能になった状況は、次の問いを自問するのにうってつけだ――「ありうるビジネス」「次の時代のビジネス」「よりよいビジネス」とはどのようなものなのか、そして、パーパス(存在意義)を持ったビジネスはどのようなことを成し遂げられるのか。

 いまリーダーが取り組むべき課題は、従業員の意識をビジネス上のパニックではなく、ブランド・パーパスに向けさせることだ。パーパスを活性化(もしくは再活性化)させることには、従業員に安定を感じさせ、ビジネスが前進するための弾みを生み出す効果がある。

 以下、具体的に見てみよう。