あなたの"why"は、上記の例ほど明確ではないかもしれない。そこで、次のプレゼンテーションで"why"の核心部分に迫るための3つの方法を紹介しよう。
●"what"の質問を自問する
"why"の答えは潜在意識下に隠れていることがよくあり、その場合には、それを引き出す作業が必要になる。次のような"what"の質問を通して、"why"にたどり着ける場合がある。
「これを行う/行わない場合、どのような危険が起こりうるのか」「これを成し遂げたら、どのような未来につながるのか」「これを行った/行わなかった場合、人類の存続条件はどう変わるのか」
"why"にたどり着くもう一つの方法は、誰かに"so what"(だから何?)と、それ以上答えられなくなるまで尋ねてもらうことだ。そうすれば"why"の根っこにたどり着ける。
●"Because"でフォローする
"why"を「考える」だけでは不十分で、"why"を明確に説明することが必要だ。聴衆にどのようなアクションを求めるかを考え、それを"because"(なぜなら)でフォローする。
たとえば、「プロセスを改善する必要があります。なぜなら____」 の後に続く理由がそれだ。「____する必要があります。なぜなら____」の2番目の空欄に入るのが"why"の答えだ。
●没にした案にも触れておく
懐疑や反対の声を未然に防止するため、排除した視点も挙げておこう。
聴衆にアクションを取らせるために影響を与えようとしているのに、それ以外のことをわざわざ明かすのは逆効果のように思えるかもしれない。しかし、棄てたアイデアと、(ご推察の通り)その理由(why)を共有することで、聴衆はより納得できる。
あなたが考え、検討し、確かめ、そして放棄したアイデアを共有することで、あなたがあらゆる可能性を考え抜いたことを実証できるのだ。
"why"に答えることは共感の行為であり、それをやることで、あなたのコミュニケーションに説得力が加わる。 人は、なぜ(why)やるように求められているのかがわかると、それを実行する可能性がはるかに高まる。
このような時期、顧客や従業員はいつも以上に、あなたの知恵とリーダーシップを必要としている。あなたは、先の見えない中で彼らを前進させるという、類を見ない機会を得ているのだ。彼らをその気にさせ、いますべきことに注力させるには、忘れずに"why"を含めよう。
HBR.org原文:Good Leadership Is About Communicating "Why", May 06, 2020.
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