私たちはいま、「よいビジネス」とはどんなものかという、より啓発された概念を身につけることのできる稀な機会を得ている。企業のリーダーにはすでに、より多くが期待されており、ミレニアル世代の労働者の要求や、より責任のある消費者の選択にそれが現れている。今後、さらに加速するだろう。

 2020年にCEOや企業がどう振る舞ったかは、彼らを評価する新しい強力な指標となるだろう。共感の欠如を示す企業や他者に仕える努力をしない企業、沈黙する企業、利己的な企業、経済的苦難にあって分け与えることをリーダーが拒否する企業は、ブランドや評判が永久に損なわれる危険にさらされる。

 責任感が強く、思いやりのある経営幹部を求める声は高まっている。あくまで推論だが、我々の未来は、ある種の反ダーウィニズムによって形成されるかもしれない。最も獰猛で自己に取りつかれた者ではなく、最も親切で慈悲深い者が生き残るのだ。

 これは素晴らしい将来像であり、いまはそれを想像することができる。確信できるのは、新型コロナウイルス感染症は、私たちが経験する最後の混乱ではないということだ。

 歴史的にめったに起こらない「ブラックスワン」は、将来はより頻繁に発生するだろう。崩壊した食糧システムの危機や疾病のパンデミック、気候変動、その他の大きな課題が待ち受けている。

 現在は序章であり、目の前に立ちはだかる大きな試練のために、基本的な訓練をするときだ。ビジネスリーダーが再び試されるのは、時間の問題である。

 私たちの眼前で示された教訓は、企業は健全なバランスシート、思いやりのあるリーダーシップ、そして真の共感を持って将来の危機に備える必要があるということだ。それを実現する企業は称えられ、報われ、大切にされるだろう。


HBR.org原文:What Good Business Looks Like, May 13, 2020.


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