
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、多くの業界が苦境にあえいでいる。なかでも、接客を伴うサービス業への打撃は甚大だ。常に感染リスクを伴う状況で需要を取り戻すことは困難であると同時に、従業員や顧客の安全確保にかかるコストは上がるからだ。筆者は、優秀なスタッフとともに変化を起こしてコロナ危機を乗り越えるために、従業員に十分な給料や研修機会を与えない「悪い職場」を改善し、「よい職場」に変わるべきだと主張する。
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の大流行に襲われた国々では、接客を伴うサービス業が困難に直面するのは2~3ヵ月の間だけではない。2~3年だ。ワクチンが普及するまでは感染への不安があるため、従業員や顧客の安全確保に必要な措置にかかるコストは高くなる一方、需要は落ち込むと見られる。
この困難をさらに厳しいものにしているのは、これらの企業の多くは、現場の労働者に対する「悪い職場(バッド・ジョブズ)」のモデルに依存していることだ。低賃金、低生産性、高離職率、変化する顧客ニーズやテクノロジーへの適応困難といった特徴を持つ職場である。
こうした企業ではいま、雇用に関する新しいアプローチが、これまで以上に必要とされている。人材への投資と、従業員のモチベーション、貢献度、生産性を最大化するオペレーションの選択を組み合わせた「よい職場(グッド・ジョブズ)」である。