部下の体や脳の働きに影響を与えるのが自分の仕事だとは思わなかったかもしれないが、自宅で一人きりで仕事をし、チームがバーチャルな今日では、それこそがあなたの仕事だ。チームメンバーが健康で生産的であり続けるためには、彼らを笑わせ、彼らのストレスを減らさなければならない。
コメディアンになる必要はないが、ある程度の笑いをはぐくむ必要がある。それを実践するための、具体的な方法を5つ紹介しよう。
(1)ゆとりを持つ
バーチャルな対話はできるだけ速く、かつ効率的にしなければならないと、ほとんどのリーダーが思っている。しかし、バーチャルな対話しかできないときは、それは間違いだ。孤立しているいま、リーダーの重要な仕事は単に仕事を完了させるだけではなく、チームを社会的、心理的、感情的につなげ、またつなぎ直すことだ。
笑いは、チームの感情的なつながりを維持する最善策の一つである。それには、業務を後回しにしなければならなかったとしても、時間をかけ、余裕を持つ必要がある。
(2)ビデオを活用する
人間は笑いに関して、視覚と聴覚両方の手がかりやヒントを読むことに、驚くほど長けている。手がかりを与え、読むためのチャネルをチームに多く与えるほどよい。笑いのきっかけが増えるよう、チーム全員がビデオ通話に参加できるようにしよう。
(3)笑顔を絶やさず、少し高い声で話す
チームメンバーは、会議中に笑ってもいいのかなど、どんな行動が許されるのかのサインをリーダーに求めている。笑うのはよいと伝える最もシンプルで強力な表情のサインは、本物の笑顔だ。
また、聴覚的に重要なのが声の高さである。文化にほぼ関係なく、声のピッチを少し高くすると、チームに対して深刻な雰囲気ではなく、陽気な雰囲気を望んでいることを示す。
(4)手本を示す
あくびと同じように笑いが笑いを招くため、おそらく最もチームに笑いを引き起こせるのは、あなた自身の笑いである。しかし、人はたいてい本物の笑顔と作り笑顔を見分けられるように、本物の笑いとわざとらしい笑いも見分けることができる。そこで実践して欲しいのが次の方法だ。
(5)自分が笑う気分になる
会議の前に自分の準備から始める必要がある。ズームの画面で皆に冷ややかな顔を見せるより、笑っている(そして神経化学物質を放出する)ほうが簡単だ。理想的には、ほんの数秒間でも会議の前に笑うといい。お勧めは、会議が始まる直前に面白い動画を見ることだ。
いつの日か新型コロナウイルスのワクチンが見つかり、より自然な社会的交流が再びできるようになることを願っている。しかし、危機が去った後も、より多くの人が、より頻繁に、自宅で一人で仕事をする可能性は極めて高い。
すなわち、笑いの問題は残るということだ。なぜなら、テクノロジーがどれだけ向上しても、社会的行動や神経化学は数千年かけて進化するからだ。このペースが2年、20年、あるいは200年の間に急激に加速することは考えにくいのだから、リーダーは笑いを起こすことに長けていなければならない。
HBR.org原文:Laughter Will Keep Your Team Connected - Even While You're Apart, May 27, 2020.
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