●返報性バイアスを活用する

 ロバート B. チャルディーニは時代を超越した名著『影響力の正体』で、説得法の第一原則として「返報性」を挙げている。つまり、私たちは人から扱われるのと同じように、人を扱う傾向がある。

 それによって私たちは好意(あるいは軽蔑)を返したり、人を大切に(あるいは粗末に)扱ったりする。また、借金を返済しようという動機にもなる(あるいは相手が返済しなければ自分も返済しないという動機になる)。

 前向きなフィードバックや励まし、フレンドリーな声がけをもっと得るには、それらを与えることが最善の方法かもしれない。

 毎週、同僚やマネジャー、直属の部下、さらにはクライアントやベンダーの何人かに連絡し、彼らに関する前向きな意見や、あなたが考えていること、彼らがあなたに与えている影響、さらには、自分が会いたいと思っていることを伝えよう。そうすれば、そのすべてに対して相手からもお返しがあるはずだ。

 マルコム・フォーブスはこう言った。「少しの返報性が大いに役に立つ」

 もちろん、相互の称賛を待つ間に、自分が必要としているものを直接依頼することもできる。マネジャーやチームメイトに、こんなふうに言ってみよう。

「いまは日常とは異なることはわかっていますが、それでも私はあなたからのフィードバックが必要で、それが大切なのです。異なるやり方でともに仕事をしているいまは、それが私にとって特に重要だと感じています。次回のミーティングの際に、5~10分でフィードバックを共有していただけますか?」(そして、あなたからのフィードバックも準備すること)。

 リモートワークでは身体的にも精神的にも距離ができるかもしれないが、それでモチベーションや自信、自尊心を損なう必要はない。


HBR.org原文:Stay Motivated When Feedback Is Scarce, June 02, 2020.


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