
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、ビジネスリーダーが直面する史上最大の危機と言っても過言ではない。この危機を乗り越えるうえで不可欠なのは、不確実な状況で事業を継続し、かつ業務のデジタル化を高速で推進するだ。それを実践するのは容易ではないが、いち早く新型コロナ危機を経験した中国企業の取り組みは参考になる。本稿では、世界のリーダーが参考にすべき11の教訓を示す。
この数ヵ月の日々は、ビジネスリーダーが一生に一度経験するかしないかという問題について研究する機会を生み出してきた。その問題とは、未曾有のパンデミック(感染症の世界規模の拡大)の中で、企業がどのように事業を継続し、さらには業務のデジタル化を推し進めるのかという問題である。
その点で注目に値するのは、ほかの国々より早く新型コロナウイルス感染症を経験した中国の事例だ。そこで私たちは、20件にわたる綿密な直接の聞き取り調査を行い、350人を超す上級幹部たちを対象とした大規模なアンケート調査を実施して、この不透明な状況に中国企業がどのように適応し、革新を成し遂げ、生き延び、さらには好業績を挙げてきたのかを明らかにしようとした。
調査対象の企業の中には国有企業も含まれているし、大規模な多国籍企業や地域の非上場企業も含まれている。私たちの調査によれば、これらの企業は以下のような課題に迅速に対処することが求められた。
・デジタル技術を活用して、適応と革新を行う。
・革新的なビジネスモデルを試す。
・さまざまなソリューションをつなぎ合わせて、未知の顧客ニーズに対応する。
・新しいビジネスのプロセスと慣行と編み出す。
・協働とチームワークを促すために既存のモデルを見直す。
中国で都市封鎖が解除されると、封鎖期間に中国企業が直面した課題の多くは今後も変わらず、それらの課題に対処するために行った変革の一部も継続すべきだとわかってきた。私たちはこの中国企業の調査を通じて、ほかの国のビジネスリーダーにも参考になる11の教訓を見出した。