私が所属しているマイヤーズ・ブリッグスは、この問いに答えるための研究を行った。2018年と19年、1000人以上を対象に調査を行い、みずからの性格タイプ、行動、常時オンの文化に対する思いについて尋ねた。また、ほかのさまざまな要素に加えて、回答者の仕事に対する満足度と、仕事と家庭のぶつかり合いについても調べた。

 回答者たちは、常時オンの文化のあらゆる面を否定的に評価していたわけではなかった。10%以上の人は、常時オンであることにより、情報を取り逃がさずに済み、誰かにメッセージを送ればすぐに返事がもらえるし、働く場所と時間の柔軟性も高まったと答えている。オフィス以外で仕事のメールや電話を利用できる人は、仕事へのエンゲージメントと仕事への満足度が高い傾向も見られた。

 しかし、全体として見れば、利点よりも弊害のほうが大きいようだ。3分の1近くの人は、「自分のスイッチをオフに」できないと回答している。また、4人に1人は、常時オンの文化が私生活や家庭生活に干渉していると述べ、5人に1人は、そうした文化が精神的な疲弊につながりかねないと答えている。

 常時オンの文化に対してきわめて否定的な見方を示した回答者もいた。ある回答者はこう述べている。「燃え尽き状態に陥り、プライベートを諦めなくてはならない。子どもと過ごす時間が取れないし、人生を終えるときに振り返って後悔する羽目になる。張り詰めた状況をたびたび経験し、友人を失ったり、恋人との関係が壊れたりする」

 常時オンの文化を生きることは、ストレスを悪化させ、仕事と家庭の衝突を激化させ、職場や家庭で気が散りやすくし、集中力を減退させることが多い。

 この調査では、人々がどのように常時オンの文化に対処しているかも調べた。ほとんどの人は、大きくわけて4種類の戦略のいずれかを実践していた。ただし、性格のタイプによって、それぞれの戦略の効果に違いがあった。

 そこで以下では、性格のタイプと有効な戦略の関係を見ていくことにしよう。

 マイヤーズ・ブリッグスタイプ指標(MBTI)では、4つの側面から個人の性格のタイプを分析する。その4つの側面とは、以下の通りだ。

・人やモノなどの外的な世界に興味関心を向けるか(外向)、思考や感覚などの内的な世界に興味関心を向けるか(内向)。

・みずからの経験と五感に基づいて情報を受け止めるか(感覚)、未来に目を向けて、物事の全体像を見ようとするか(直観)。

・客観的な論理に基づいて意思決定するか(思考)、みずからの価値観や、その決定がほかの人たちに及ぼす影響に基づいて意思決定するか(感情)。

・骨組みがしっかりしていて秩序立った生き方をするか(判断的態度)、柔軟で自然発生的な生き方をするか(知覚的態度)。

 4つの戦略と性格のタイプの関係に着目することにより、常時オンであることの弊害を減らすために、これらの戦略を最も有効に用いる方法が見えてくる。