●期待を管理する

 人間は他人について何らかの決めつけをして、漠然とした状況に対する居心地の悪さを緩和しようとする。不透明性が高まると、こうした決めつけは、ますます迅速かつ強固に形成されるようになる。これはリーダーでも一般のスタッフでも同じだ。

 あなたの実力とニーズとアイデアは、周囲の人の推測とはマッチしないかもしれない。必要なときはきちんと声を上げ、丁寧かつ正直に自分を擁護することによって、周囲に誤解される事態を回避しよう。

 子どもを預ける場所や、自宅学習のアレンジが終わっていないなら、上司にそれを伝え、必要なら柔軟な勤務時間にできないか相談しよう。自分の健康が心配なら、当然の要求のように思われないように注意しながら、自分の懸念を表明しよう。

 あなたがグループのリーダーなら、部下たちは、あなたが新しいポリシーやプロトコルについての疑問に答えられると思い込み、満足な答えが存在しない質問を浴びせかけてくるかもしれない。正直に答える方法を学ぶことは、優れたリーダーシップのカギになる。

 近く変更があるかもしれないといったことを小耳にはさんだら、部下たちに積極的に伝えて、あなたが彼らのために最新情報を集めていることを知らせよう。周囲の期待をきちんと管理すれば、複雑な移行プロセスに新たな問題を追加せずに済むだろう。

 ●喜びの拠り所になる

 職場復帰をスムーズに進める最善の方法の一つは、仲間の移行を助けることだ。

 自分のチームが陽気な雰囲気になる会話を仕掛けよう。ある組織は毎週、「在宅勤務での災難」と「在宅勤務で意外に楽しかったこと」をシェアすることにした。これは簡単に真似できる工夫だろう。ユーモラスで人をやる気にさせるエピソードは、新たな仲間意識を生み出せるはずだ。

 在宅勤務が続いている同僚には、特に気を配ろう。彼らは取り残された気分になったり、対面で交流する機会を逃していることを心配したりしているかもしれない。彼らが仲間とつながっていること、仲間に入っていることを感じられるように、プラスアルファの行動を取ろう。きっと感謝されるはずだ。

 職場では、かつては日常的にやっていたハグやハイタッチに代わるクリエイティブな方法を探そう。うっかりPPEルールに違反したり、つい「自動操縦モード」になっている同僚がいたりしたら、いら立たずに、それを笑い飛ばす大らかな方法を探そう。もともとさほど仲がいいチームでないなら、これを機に新たな信頼関係や仲間意識を構築しよう。

 それでもコロナ禍と戦うストレスはなくならないが、あなたが仲間に喜びをもたらし、その過程で自分にも喜びをもたらせば、戦いの恐怖を和らげることができるだろう。

 ●大局的な構図に注目する

「次のノーマル」がどんなものになるのであれ、それへの移行は、未知の困難と可能性に満ちたものになるだろう。その大部分は、私たちにはコントロールできない。また、その移行に対する感じ方は、人によって異なるだろう。あなたの気持ちの抑揚は、他人の抑揚とは必ずしも一致しない。

 私たちに管理できるのは、移行に対する自分の反応と、周囲の移行を自分がサポートする方法だ。もし、その移行ががっかりするもののように感じられるなら、希望を取り戻す工夫をしよう。

 たとえば、次のようなことを自問してみよう。「もし1年後に、コロナ禍がもたらしたプラスの変化を聞かれたら、私はなんと答えるだろう」。たとえ困難に直面しても、それがあなたという人間の成長に与える影響は、自分で決めることができる。こうした可能性を毎日考えよう。そして必要なとき、それを使って希望を強化しよう。

 覚えておきたいのは、私たちが歴史に前例のない時代を生き抜いていることだ。コロナ禍は、私たちがまだ知り得ぬ形に世界を変えるだろう。今後待ち受ける未知なことの多くは、とてつもなく大きなチャンスであり、私たちはその中で自分がどんな役割を果たすかを決定することができる。

 この画期的な出来事の中で、「一緒に(together)」という言葉がまったく新しい意味を帯びつつある。職場復帰は、そこにさらに新しい意味を与えるだろう。それが並外れたものを意味することになるように、あなたはどんな役割を果たすだろうか。


HBR.org原文:How to Prepare Yourself for a Return to the Office, July 06, 2020.


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