●柔軟性に留意しながら、優先順位を決める

 現在、唯一確かなのは、未来が予測不可能であるということだ。

 学校は休校になるかもしれない。あるいは二度と再開しないかもしれない。感染予防対策のガイドラインが変更される可能性もあり、町や都市によってはロックダウンを余儀なくされることもあるかもしれない。

 不確実性に備える最善の方法は、優先順位を明確に定め、誰もが「チームにとって何が最重要かを知っている」状態にすることだとデイビーは言う。毎週月曜日に短時間集まる「ハドルミーティング」を開き、週内に完遂すべき重要な業務の優先順位を、その場で決めることをデイビーは提案する。

 さらに、「もし時間に余裕がある時にできたら助かる」仕事についても話し合うべきだ。最も重要な仕事に注力することで、システムの中に柔軟性を組み入れられる。

 たとえば、学校が閉鎖したために日中子どもの世話をする時間を必要とするメンバーがいた場合、誰かがその分をカバーできると理想的である。

 ●インクルージョンを強調する

 ハイブリッドチームを率いている場合、公正かつ公平な職場を構築するのはいっそう複雑になると、ヒルは述べる。

 物理的な距離が近いだけで「オフィスで働いている人々は、オフィスにいない人々よりも生産性が高い」という間違った思い込みにつながる近接性バイアス(proximity bias)にも留意したいと、ヒルは指摘する。リーダーには、この傾向を阻止するための方法を徹底する必要がある

 デイビーは、チーム全員が参加するミーティングをズームで行うという基本ルールの確立を提案する。たとえオフィスで何人かが一緒に働いていても、そうするのだ。「全員の顔がそれぞれ小さな画面に収まって並ぶと、平等に感じられる」とヒルは説明する。

 また、一部の人だけがズームで参加するミーティングは、物理的にその場にいない人にとって不公平である。「その場にいなければ、話を聞き取ることは難しい。会議室で雑談が始まるのは避けられず、誰かが紙をめくっている雑音が入ることも多い」とヒルは言う。

 オフィスにいるメンバーだけで業務について話し合うと、たとえそれが意図したものでなくても、リモートワークをしている同僚を排除してしまうことがある。リーダーは、そのことに注意を払う必要があるとヒルは言う。

リーダーは、チーム全員に参加の機会が確実に与えられるようにすべきである。「ジェーンに電話をかけて、この件を話し合おう」と、さらりと言うことをヒルは提案している。