●楽しむ

「遊び心を勤務時間にどう持ち込むか」についても、考える価値がある。私たちの多くは、パンデミックによって日常生活から笑いや軽妙さが失われてしまったことを寂しく感じている。

 デイビーは、毎日ランチタイムの前後に「非公式のズームルーム」を設定して、オフィスのランチルームにいるかのように、気軽におしゃべりできる場をつくることを提案している。

 議題のない自由な時間を楽しもう。たとえば、読んでいる本や子どもの話題、あるいは最近夢中になっているネットフリックスの動画についておしゃべりしてもよい。どこで仕事をしていても、チーム全員が参加できるようにしよう。

 何かテーマを設定したランチにするのもよい。たとえば、参加者全員が奇妙なスカーフをつける、それぞれが異なる種類の料理をつくる(テイクアウトする)といった具合だ。

「その場を楽しむことだ」とヒルは語る。「常に真面目でいる必要はない」。目的は「お互いにつながっていると実感すること」であり、コミュニティへの帰属意識を育むことである。

 ●鼓舞する

 最後に、上記のいずれも容易に実行できると思ってはいけない。道は平坦ではないだろう。謙虚かつ辛抱強くあらねばならない。

「新たな時代が来た」とヒルは言う。「いま、この瞬間を大切に生きること、そしてアジリティ(敏捷性)や適応性において、従来とはまったく異なるレベルの能力が問われている」

 しかし、明るい面に目を向けよう。「この危機によって否応なく、新たなスキルを開発したり、これまでと異なる方法を実践したりせざるをえなくなった。「それらは今後のキャリアにとって非常に有益となる」とデイビーは語る。

 ●覚えておくべき原則

【やるべきこと】
・チームの誰もが最重要事項に注力できるよう、優先順位を明確に定める。
・インクルーシブな環境をつくる。オフィスに来ている人がいても、公平さを保つために全員参加のミーティングはオンラインで行う。
・自分が持っているバイアスや先入観について考える。「チームの中で自分が不公平に扱っている人はいないか。もしいるなら、周囲の目にはどのように映っているか」を自問してみる。

【やってはいけないこと】
・硬直化してはいけない。現在、未来は予測不可能で、誰もが柔軟性を持つ必要がある。
・チームのストレスの兆候を無視してはいけない。共感しよう。メンバーが重要事項を優先できるようにサポートしよう。
・楽しみを忘れてはいけない。チームのメンバーとつながることを楽しんだり、勤務時間に何らかの遊び心を持ち込んだりできる方法を探す。