実践からのアドバイス
ケーススタディ(1)新たなルーチンを確立し、誰もが自分もチームの一員だと感じられるようにする
カースティン・ドットソンは、グローバルなIoTネットワーク企業シグフォックスのコントローラーだ。仏企業である同社は、米国ではボストンとダラスに拠点を持つ。新型コロナウイルス感染症のパンデミックのさなかにチームを率いることは学びの機会だったと、カースティンは考えている。
シグフォックスは5月にオフィスを再開し、出社するか在宅勤務を続けるか従業員に選択させた。カースティンは自分の部下と1対1で対話し、それぞれの状況に合わせて最も快適で生産的でいられる場所で働くように促した。
ハイブリッドなオフィスへの移行が始まり、カースティンはチームでバーチャルミーティングを開き、メンバーが一緒に働くための最善の方法ついて話し合った。
第1に、定期的なミーティングを設定した。「全社的に在宅勤務に切り替えた際に、チームでは毎週火曜日に情報を共有し、木曜日に優先事項とスケジュールについて報告しようと決めた。現在は数人がオフィスに戻っているが、このミーティングは今後も続ける予定だ」
第2に、それぞれのメンバーが1日をどのように組み立て、変化しつつある状況にどう適応しようとしているかを、チーム全体で共有した。
「私たちはそれぞれ好きな働き方が異なり、柔軟性に対するニーズも異なる。新型コロナウイルス感染症が蔓延しているいま、状況が急変するおそれがあることも全員理解している。同僚がそれぞれのニーズや計画について積極的にコミュニケーションを取っている限り、全員が最善を尽くして順応しようと、チームで決めた」
第3に、できるだけビデオ会議を活用し、チームのコミュニケーションを取り続けようと決めた。「物理的にその場にいられない人々も、疎外感を感じることなく、誰もが自分もチームの一員だと感じられるようにするためだ」
最後に、チームで交流を深める方法を話し合った。毎週、ハッピーアワーを設け、全社で架空のフットボールリーグをつくり、1カ月にわたってトリビアクイズを行った。「オフィスで同僚と過ごす楽しい時間がなくなってしまったことに、誰もが寂しさを感じていた」からだと、カースティンは語る。
カースティンはこの時期、部下全員とつながりを持つために格別の努力を払っていると言う。
「1対1のミーティングを開いて、『いまの状況にどう対処していますか。改善するために、私がサポートできることはありませんか』と尋ねている。チームメンバーに感じてほしいのは、誰もが私に気兼ねなく相談できて、状況が悪化した場合には私がサポートするということだ」