ケーススタディ(2)従業員のコミュニケーション、協働、情報共有を後押しする方法を見出す
カナダ政府が企業に対して事業再開許可を出した後、ユニートの共同創業者兼CEOのマーク・ボシャーは、オフィスに戻るか在宅勤務を続けるかの選択肢を従業員に与えた。同社は、モントリオールを拠点とするワークフローマネジメント・プラットフォーム企業である
「どうしても家から出たいと思っている人もいれば、オフィスに戻りたくない人、健康上の理由や家族の都合で出社できない人もいた」と、マークは話す。
以来数カ月にわたり、同社はハイブリッドチームで事業を運営している。マークにとっての最優先事項は、全従業員60人が公平に扱われていると感じることである。
「過去には、リモートワークをしている従業員が『二流市民』扱いされることもあったかもしれない」。しかしいまは、平等性を保つためにすべてのミーティングがオンラインで行われている。「誰もが同じレベルにいられる」と彼は話す。
さらに、ミーティングはすべて録画されるため、従業員には非同期で働く自由もある。これはパンデミックによって従業員の家庭生活に大きな負担が強いられる中で不可欠だと、マークは語る。
「ミーティングの主催者が事前にアジェンダを送ることで、参加する必要がないと思った人は欠席できる。議事要録を読むか、2倍速でミーティングのビデオを見れば、後から内容を把握することができる。そうすれば、従業員はプレッシャーが減り、いつ情報を入手するかを自分で選ぶことができる」と彼は説明する。
従業員が仕事を順調に進め、情報を同期するのをサポートすることも、彼のもう一つの優先事項である。全従業員に対して、コラボレーションツールを活用すること、変更や決定事項はすべてを文書化するよう促している。そうすれることで全員が共通認識を持てると、マークは説明する。
マークによれば、最大の課題はユニートが自社のポジティブな組織文化を維持すること、そして従業員同士が強い人間関係を築けるようにすることである。従業員がそれぞれ異なる状況で働いているため、「常に自社の組織文化を確認しておく必要がある」のだ。
たとえばマークは、アウトドアでのチームビルディングイベントを任意参加で開催するのをサポートした。会社としては、町中の公園でハッピーアワーを主催して、さまざまなグループに所属する人々が参加して安全に交流することを促した。従業員もまた、チームでのハイキングやサイクリング、ウォーキングミーティングを企画した。
さらにマークは、スラックのマッチングツールを使って、別々の部門で働く従業員同士が15分から30分、コーヒーを飲みながら対話できる時間を、週のいずれかに設定した。「私はセレンディピティ、冷水機の前で偶然顔を合わせて会話が始まるような状況を再現しようと試みている」
全体的に見て、ハイブリッドの職場はポジティブな「実験の機会」であり、新しい働き方を試す機会でもあると、マークは考えている。「これはいい意味での強制的なメカニズムで、私たちには柔軟性があり、変化を受け入れる能力があることを証明している」
HBR.org原文:How to Manage a Hybrid Team, October 07, 2020.
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