検証を繰り返す

 消費市場は、いまも注文のキャンセルや感染者の急増、想定外の出来事、地域による違いに振り回されている。そのような状況で、マネジャーは、検証作業をきっちりと、迅速に、そして頻繁に繰り返す必要がある。そのためには、A/Bテストのようなシンプルな方法も有効だ。

 たとえば、コロナ禍で家にこもるようになり、それまでオンラインで食料品を購入することなど考えたこともなかった65歳以上の層が、その種のサービスを利用し始めている。

 この新しい顧客層に対して、どのようなマーケティングメッセージが最も有効かを知るために、食料品販売業者はA/Bテストを用いてもよい。また、A/Bテストにより、動画配信とソーシャルメディア広告など、さまざまなマーケティング・チャネルの有効性を(広告の中身を何通りも試しつつ)比較検討することも可能だ。

 こうした検証作業を行うことにより、必然的に得られる副産物がある。たとえば、感染再拡大中の都市部である種のメディア広告を2倍に増やしたり、半減させたりした場合の影響を知りたいと、ある企業が考えたとしよう。

 この場合、検証を行えば、予測ができるだけではない。そのような施策を本当に実行できるのか、どのような形で広告を増やせばよいのか、柔軟に広告を減らすことが契約上可能なのかといったことも検討できる。

 2020年、正確な予測が難しくなる中で、消費者向けのビジネスを行っている企業のマネジャーたちが取った行動はさまざまだった。コロナ禍が落ち着くまで生産とマーケティングを減らした企業もあれば、シンプルに一律での調整を行った企業もあった。

 しかし、数こそもっと少ないが、新しいデータを探し、シミュレーションを行い、モデルづくりを行った企業もある。そのような企業は、需要の予測の精度を高めることに差し当たり成功し、成長を犠牲にせずに、コストを抑制できている。

 市場が落ち着きを取り戻したあと、ライバルより強い立場に立てるのは、このタイプの企業だ。2021年内は不安定な状況が続く可能性が高い。その点を考えると、もっと多くの企業がこのような企業をお手本にすべきだろう。


HBR.org原文:Predicting Consumer Demand in an Unpredictable World, November 26, 2020.