●「ハドル」を段階的に行う

 生産性が高い組織の多くは、毎日の段階的なハドル(少人数・短時間の打ち合わせ)を導入しており、そこではあらゆる問題に関してエスカレーション(解決できない問題について、上位者に関与を仰ぐこと)の系統が明確にされている。

 最初のハドルは、現場・前線の従業員たちがその日の就業開始時に行う。その30分後、次のハドルをスーパーバイザーたちが開く。さらに30分後にマネジャー、その後にディレクター、バイスプレジデント、最後は経営幹部チームの順で打ち合わせをする。生じた問題は可能な限り低い階層で対処される。決定に至らない場合、その問題は次の階層に上申される。

 このシステムによって、経営首脳陣と現場の連携が向上し、意思決定が速まる。そしておそらく最も重要な点として、さまざまな問題に関して散漫に発せられるメールの数が減ることで、生産性が向上するのだ。

 ●仕事を可視化する

 オフィス環境における仕事のほとんどは、目に見えない。つまり、人々のコンピュータか頭の中に埋もれている。その結果、従業員が何に取り組んでいるのか、あるいは仕事が多すぎてこれ以上タスクを引き受けられないのか、などがわかりにくい。

 物理的またはバーチャルのタスクボード――たとえばトレロ、アサナ、エアテーブル、ゼンキットなど――があれば、各タスクの担当者(および状況)がカードで具体的に示されるため、より公平な業務配分が可能になる。加えて、大量の状況確認メールと、会議でその件を話し合う必要性の両方がなくなる。

 筆者が協働した医学研究所の主任研究員は、まさにこのようなシステムを導入した結果、業務を完了するスピードが速まり、それに伴う労力も劇的に減ったという。

 非稼働時間の可視化も同じく効果的だ。ハーバード・ビジネス・スクールのレスリー・パーロウ教授は、ボストン コンサルティング グループとの協働で次のことを発見した。「予見可能な余暇」(例:午後や夜に仕事とワイヤレス機器から完全に離れる、メールに接続しない時間を合意の下に設ける、誰にもじゃまされない作業時間帯を確保するなど)を設けることで、顧客へのサービスを損なわずに仕事の満足度とワーク・ライフ・バランスが向上したという。

 この場合の「予見可能性」は「可視性」と同じ目的を果たす。つまり従業員は、同僚が何をしているのかが見えるようになり、それに合わせた対応ができるわけだ。