あらかじめ合意をつくる

 全員があらかじめ条件に合意していれば、誰もが目的と期待される結果を理解しているため、ほとんどの場合、異論が出る可能性は低い。たとえば、次のような状況だ。

・「11時半にこのミーティングを退席しなければならないが、午後に連絡を入れる」
・「わかった。車を使ってもいいが、10時半までに帰ってくること。あなたの妹を練習に連れて行かなくてはいけないから」
・「それなら、いつもクッキーを2枚食べていいことにしましょう。ただし、食べていいのは食後だけです」

 明確な境界線を決めると、終わりのないミーティングや「もっとデザートがほしい」と延々とせがまれる事態をはねつけることができる。そのうえで、相手に合意した内容を思い出させ、断固たる態度を取ることができる。「食後にクッキーを2枚だけ、覚えている?」と。

自分の資質や権威に言及する

 どんなに軽いものでも、境界線を引くためには一定の権威が必要だ。あなたの専門性について簡単に触れれば、境界線の交渉におけるあなたの立場は強化されるだろう。たとえば、次のような状況だ。

・「私は同じような状況で20人以上のCEOと仕事をした経験がありますので、あなたのお力になれます」
・「ほかのプロジェクトでもこのソフトウェアを使ってきましたから、私はこのチームに貢献できます。ただ、現在私が抱えている仕事を誰かに代わってもらう方法を考えなければなりません」
・「父親として、私にはきみの安全に責任がある。そして、それは安全なことだと思えない」

 もう少し強く押し返すには、自分の味方に言及するとよい。

・「この問題を解決するにあたり、あなたは適切な部門に相談されました。私たちは最高の評判を得ています。私の指示通りに動いてくれるなら、すぐにオンラインでサポートしましょう」
・「親には、子どもが見るテレビ番組を選ぶ権限があります。あなたのお父さんと私は、これはあなたが見るべき番組ではないという意見で一致しました」