自分の価値観を明確にする

 パンデミックが始まって以来、あなたは自分が変わったと感じているかもしれない。しかし、抽象的な感覚に基づいて、理性的に振る舞うことは難しい。そこで、いまの自分にとって何が大切だと思うかを明確にするために、少し時間を取って考えてみる。

 その際、考えをメモに書き留めることが、建設的な行動を促す強いきっかけになることが明らかになっている。まずは、自分が経験した変化を書き出すことから始めるとよい。時間を置いた後で、自分が書いたことを見直そう。5つくらいのコアバリューをリストにまとめることを目指したい。

 後々まで影響を及ぼすと思われる転換点を迎えている現在、我々は数百人の働く親を対象に、どのような価値観を体現したいかを尋ねてきた。その答えのほとんどは、過去何年もの間、耳にしてきた価値観と同じだったが、いくつかはリストの最上位に躍り出たようだった。

 ●いま、ここにいること

 パンデミックの最中に、あなたが担うさまざまな役割には、明白な境界線が存在しない。多くの人にとって仕事とは、もはや家庭や親業から物理的、時間的に切り離されたものではなくなった。

 一瞬のうちに親業から仕事に移行し、また元に戻る。あなたは在宅で働き、職場で生活しているのだ。何かをしている時でも他のことに気を取られ、真の意味でその場にふさわしい役割に徹していると感じるのが難しくなっていても不思議ではない。

 だからこそ、多くの働く親たちは、人間関係においても仕事においても、その場に真の意味でいることがいかに重要か、そして困難かに気づいたのである。

 ●思いやり

 2020年には、グローバルコミュニティとして人々がいかにつながり合っているかと同時に、組織の不公正がいかに根強く存在するかが明らかになった。その結果、必要不可欠な価値観として、思いやりが最初に挙がるようになってきた。

 働く親はこれまでも、思いやりに価値を見出していなかったわけではない。ただ、いまは思いやり、それも自分自身に対する、あるいは家族や同僚、コミュニティに対する思いやりが、意義深い人生を送るのに欠かせない要素だと認識しているのだ。

 ●レジリエンス

 毎日、毎週、毎月、毎年、何が起きるかは不確実で予想不可能であるため、多くの人々がレジリエンス(再起力)に優先順位を置くことのパワーに気づいた。

 不透明感に対処し、何らかのじゃまやいら立ち、恐れや悲しみと直面した後に再起する能力を意識的に開発することが、我々の研究対象となった多くの親たちにとっての優先事項になっている。この不確実性の時代に、子どもたちを導こうとしている場合には、なおさらである。