
コロナ禍による在宅勤務は従業員にさまざまな負担を強いることとなったが、特に女性や非白人のようなマイノリティを苦しめている。バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る人の数が過去最高に達するなど、リーダーはこの問題を積極的に解決しなければならない。本稿では、インクルーシブなリモート文化を築き、リモートワーカーを燃え尽き症候群から守る3つの方法を紹介する。
カレンダーが2021年になったのだから、2020年など忘れてしまいたい――そんな思いは山々だが、新年を迎えても「ニューノーマル」がすぐに消えるわけではない。ズーム会議や、キッチンテーブルを教室兼自宅オフィスとして使う状態は、もうしばらく続くだろう。
危機を乗り切るために必須とはいえ、これらの措置は従業員に犠牲を強いている。特に大きな負担を被っているのは、女性、非白人、そして家族の世話や介護を担う人たちだ。実際、バーンアウト(燃え尽き症候群)――「職場で適切に対処されていない慢性的なストレス」と定義される――は過去最高の水準に達している。
母親はたいてい、コロナ禍の期間を通して子どもの世話をする責任が増えているため、米国内で980万人の働く母親が燃え尽き症候群を患っているのも意外ではない。実際、働く母親が燃え尽きに陥る確率は働く父親よりも28%高い。研究によれば、マネジャーのほぼ100%が自分は支援的であると自己評価しているものの、それに同意する部下は半分にすぎない。
パンデミック疲れは、従業員の生産性低下や不安やストレスの原因となりうるだけでなく、コロナ禍に伴う女性の職場離脱の一因でもある。米国労働統計局によれば、2020年11月の労働人口に占める女性の数は、前年から200万人以上減っている。女性が労働市場から締め出されるとジェンダー平等の進展が妨げられるだけでなく、その収入に頼る家族、ひいては国の経済成長にも悪影響が及ぶ。
コロナ禍は非白人にも不相応に大きな影響を及ぼし、職場でもその傾向が見られる。たとえば、黒人とラテンアメリカ系の従業員は白人従業員に比べ、雇用への不安をより強く感じている。
その懸念には十分な根拠がある。非白人のほうが職を失うリスクが大きい理由は、小売業やサービス業といったレイオフの可能性が少なくない業界で働いている傾向が高いことに加え、ほとんどの企業が非白人をレイオフ候補の最上位に入れているからでもある。
一部の専門家の予測によれば、コロナ後の世界でも従業員のかなりの割合がリモートワーカーを続けると思われるため、リモートワークの潮流は今後も続くと見込まれている。
リーダーには、在宅勤務による燃え尽き症候群の影響を最も強く被っている従業員の体験を考慮する責任があり、組織全体の恩恵につながるインクルーシブ(包摂的)なリモート文化を築くことも求められる。コロナ禍の期間中および収束後に、従業員を燃え尽き症候群から守るために実践できる3つの手段がある。