●部下に様子を尋ね、状況を確認する
すべての従業員がリーダーに自分の状況とニーズを報告してくれるわけではない。たとえば研究によると、マイノリティの人々は概して、自分に関する情報を職場に知らせることをためらう。また、黒人女性は職場で認知されにくい傾向にある。つまり、たとえ彼女らが声を挙げても、その言葉は忘れられやすい。
ただし、リーダーが耳を傾けるべきは女性とマイノリティだけではない。研究によれば(筆者のものも含む)、男性は家庭のために仕事の調整が必要であることを、雇用主に申し出るのをためらう。
インクルーシブなリモート文化を築くには、まず全従業員の声にしっかり耳を傾け、そのうえで公平かつ適切な調整を図ることだ。コミュニケーションという単純な行為そのものが、不透明感と不安を和らげる助けとなる。
●リモートに加えて、可能であればほかにも柔軟な働き方を提供する
在宅勤務は必ずしも柔軟性を伴うとは限らない。たとえば、一部の企業は従業員に対し、コロナ禍以前の実際のオフィスでの勤務と同様に、規定の就業時間中はずっとコンピュータの前にいるよう要求している。加えて、現在の平均就業時間はコロナ禍以前よりも約1時間増えている。
タスクや意思決定事項の内容によっては、チーム全員で同時に遂行する必要があるとはいえ、すべてがそうであるか否かをリーダーは熟慮すべきだ。同時ではない協働をある程度認めることで、部下は複数の責務を柔軟に管理できるようになる(現在はほとんどの従業員が、家庭でさまざまにやるべきことがある)。
働き方の柔軟性は、多少なりとも心の健全と安心をもたらすことになり、組織の競争優位にもつながるのだ。