ケーススタディ(2)可能な限り柔軟に対応する

 ハート生命保険を経営するジミー・マクミランは、ある従業員が悩んでいるのではないかと気になっていた。

 ケースマネジャーを務める彼女の仕事は、書類の処理や顧客サービス、病院に記録を取りに行くことだった。「ほとんどの日は素晴らしい仕事ぶりでした」と、ジミーは振り返る。

 重要な書類を仕上げるために遅くまで働くこともあった。しかし一方で、「彼女がどこにもいなくて、誰も電話やメールで連絡が取れない」日もあった。「不思議でした。とにかく消えてしまうのです」

 彼女がつかまらないと、他のスタッフの勤務時間が増えた。ジミーは何かがおかしいと感じていたが、具体的にはわからなかった。

 定期的な人事考課を迎え、彼は彼女とこの問題を話し合おうと決めた。「細心の注意が必要な会話でした」。ジミーは自分が観察したことを率直に話し、欠勤について質問したが、何かを決めつけたり、個人的な情報を話すように強要したりはしなかった。

「私はこんなふうに言いました。『私たちはあなたのことが心配なんです。あなたは素晴らしい仕事をしている。でも、時々いなくなりますよね。急に出勤しなかったり、連絡が取れなかったりする時もあって。何も問題はありませんか?』。
 すると、彼女は自分が1型の双極性障害で、精神科を受診していることを打ち明けたのです。薬が変わると気分が不安定になることがあり、どうにもならない日もあるそうで、仕事を休んでいました」

 ジミーはこの病気についてほとんど知らなかった。「精神的な疾患については、生命保険の契約で署名をする程度の内容は知っていたが(中略)間接的な経験しかありませんでした。(双極性障害の人を)指導や管理することについては、何も知りませんでした」

 そこで、彼は調べた。「インターネットでできる限り調べて、仕事で知り合った精神科医やカウンセラーにも話を聞きました」

 優秀な従業員だったので、彼は何とかしたいと思った。「1行の簡単なメールを私に送信するだけで、急に休めるようにしました」

 彼女が不在の時は、彼がワークフローを管理した。「プロジェクト管理用のソフトウェアを使って、彼女のタスクを別のケースマネジャーに割り当てました。彼女が仕事に戻れるようになったら、再びタスクを任せればいいのです」

 彼女が打ち明けてくれたおかげで、不在への対処がとても簡単になった。彼女が会社にいた時期を振り返ると、休みはチームのほかのメンバーよりけっして多くなかった。「私から頼んだことはありませんが、彼女はいつも時間をやり繰りしていました」

 その後、彼女は会社を辞めて、より給料の高い地元の法律事務所に移った。ジミーはとても残念だった。「いますぐにでも、彼女を再び雇いたいですよ」

 彼はこの経験から貴重な教訓を学んだ。「精神的な疾患は、他の深刻な病気に対するものと同じ思いやりと優しさをもって、扱われるべきです」


HBR.org原文:When Your Employee Discloses a Mental Health Condition, February 23, 2021.