●ハイブリッドワークの計画を上司に示す
自分の場合、どこで仕事をするのが最適かを把握できたとしても、上司がハイブリッドワークの計画を承認してくれなければ意味がない。だが幸いなことに、あなたが自分の生産性について集めたデータは、上司に提示する計画を裏づける最高の根拠になる。
自分が発見したことを、簡単なメモにまとめる。主な担当業務を、オフィスのほうがはかどるタスクと自宅で対応したほうがスムーズなタスクに分けたメモだ。タイプした文字数や返信メール数、あるいはプレゼン資料の作成量を示し、在宅勤務のほうが有効であることをデータで示せるように準備しておく。
上司によっては、それぞれのタスクに予想される所要時間を具体的に示したほうがよい場合もあるだろう。
たとえば、次の役割が年次報告書プロジェクトのリーダーである場合、ハイブリッド型勤務のプランは次のようなものになるだろう。
年次報告書(68時間)
オフィスでの作業(24時間)
・ステークホルダーへの聞き取り調査(12時間)
・報告書のメッセージに関するブレインストーミング(1時間)
・報告書の概要作成(2時間)
・草稿のレビュー・トラブルシューティング(6時間)
・デザイナーへの説明とアップデート(3時間)
自宅での作業(44時間)
・コンテンツの背景調査(14時間)
・草稿作成(16時間)
・報告書のデザインのための画像検索(4時間)
・最終稿のレビュー・編集(10時間)
この内訳によれば、年次報告書プロジェクトに費やす時間の3分の1はオフィスでの作業、3分の2を自宅での作業に振り分けると、仕事を上手に完遂できることになる。他の役割も同じような内訳だとすると、1週間のうち3日間を在宅勤務にして、2日間は出社勤務にしたいと提案できるだろう。オフィスに出社した日は、ステークホルダーへの聞き取り調査やプロジェクト会議を行う。
あなたの上司が在宅勤務の価値について、相変わらず懐疑的な見方をしている場合、試験期間として1カ月やらせてほしいと提案してみる。その間、自分が提案した在宅勤務と出社勤務のハイブリッドワークを実践する。試験期間が終わる1カ月後に最高の結果を示せば、上司の承認を勝ち取れるだろう。
マギー・クロウリー・シーハンは、まさにこれを実行した人物だ。彼女はソフトウェア企業のアンバウンスで、リモートワークを始めた最初の従業員である。コロナ禍が到来するずっと前のことだ。シーハンの夫がバハマでの仕事に就いた時、上司がリモートワークを試してみることに同意してくれたのだった。
彼女の成果が素晴らしかったため、コロナ禍が到来した時、同社は全従業員に在宅勤務を命じた。すると、シーハンの同僚の一人が次のように言ったという。「みんな、仕事の生産性が80%上がるはずだよ。ほら、マギーがそうだったじゃないか」
自分にとって、生産性を最も高めることができる在宅勤務と出社勤務の組み合わせを知ることは、両方の場所で感じるフラストレーションを回避することにもなる。また、新たなハイブリッドな職場で、自分の労働条件と生産性について当事者意識持つことができると、上司に示すこともできるはずだ。
"What Mix of WFH and Office Time Is Right for You?" HBR.org, May 04, 2021.