2つ目の調査では、製品リコールの際の企業のソーシャルメディア活動について検証した。
製品リコールは、予期せぬネガティブな顧客フィードバックが大量に生じる傾向があるため、異なるソーシャルメディア戦略の即時的な影響を比較しやすく、検証のためのコントロール環境として有効だった。
リコールの重大性、企業の財務状況、ブランド認知度などの要因をコントロールしたうえで、それぞれの対応戦略が企業株価の短期的変動や、将来的な苦情件数の変化と関連するかを調べた。
その結果、クローズド戦略を採用した企業は株価の変動が少なく、その後の苦情件数も減少したのに対して、オープン戦略を取った企業は翌月の株価の下落幅が大きく、苦情件数も増加する傾向が見られた。
明らかに、不満のある顧客とのエンゲージメントを公開するのは、必ずしも適切な行動とはいえない。
当然ながら、苦情を無視すればよいというわけではなく、筆者らの研究対象の中で最も成功している企業は、苦情を訴えた顧客に公開メッセージを1件送り、その後の対話を非公開のチャネルに移行するよう促している。つまり、クローズドな対応戦略であり、会社のツイッターが苦情を寄せた顧客との長いやり取りで埋め尽くされるオープン戦略とは対照的だ。