
新型コロナウイルス感染症のパンデミックで社会は一変し、従業員に要求される能力やスキルも大きく変わった。これからも社会が変わり続けることは確実であり、企業は生涯学び続けられる人材を採用し、そうした人材を適切に評価することが求められている。本稿では、「採用」と「パフォーマンス管理」の2つに焦点を当て、人事担当者が学習に優れた人材を見極め、就業後の学習を支援する方法を紹介する。
人材マネジメントの分野で進んでいる抜本的な見直しは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で加速している。
労働環境や仕事の優先順位、新しいテクノロジーの導入は、喫緊の課題だ。採用や新入社員研修は、大部分がリモートで行われるようになった。2020年1月、パンデミックが始まる前に、世界経済フォーラムは世界的なリスキリング革命を呼びかけ、企業はレジリエンス(再起力)や適応力、デジタル、デザイン、対人スキルなど、さまざまな能力を求めるようになった。
これらの変化は、求職者にとっても雇用者にとっても難しい課題となっている。しかし、多くの人が求めている明確さと指針を示す簡潔な方法がある。これは採用からパフォーマンス管理まで、従業員のライフサイクル全体に価値をもたらす方法でもある。
そのカギは、「あなたはどのように学習しているのか」という、シンプルな質問をすることだ。
ただし、学習に関する単純な好み(スケジュールや手順など)や、広く支持されている学習スタイル(ビジュアルで学ぶか、聞いて学ぶかなど)の話ではない。自分の知識やスキルを更新し、向上させて、共有するための自分なりの方法論だ。
あなたが採用を検討している候補者は、そのようなシステムを持っているだろうか。また、あなた自身はどうだろうか。
この質問は、既存の従業員にも採用候補者にも関連性が高いかもしれない。個人の将来のパフォーマンスは、従来の採用面接で問われる過去の業績や資格がもたらすものであると同時に、質の高い体系的かつ主体的な能力開発がもたらすものである。そして、企業のケイパビリティや価値観の多くは、従業員が有する総合的なスキルと結びついている。
生涯学習は、いまや経済的に必要とされ、「唯一の持続可能な競争優位」とされる。自分のスキルについて熟考し、更新して、向上させる求職者や従業員は特に、長期的に高いパフォーマンスを上げる。どのように学ぶかという問いと向き合うことにより、重要でありながら漠然とした概念であるグロース・マインドセット(成長マインドセット)が実用的な強みになる。
どのように学習するかという質問を、従業員のライフサイクルにおいて重要な2つのステージに合わせて考えてみよう。すなわち「採用」と「パフォーマンス管理」だ。