パフォーマンス管理

「あなたはどのように学んでいるか」という問いは、評価のプロセスでも効果を発揮する。適切に行われる評価は、過去のパフォーマンスを評価して報奨を与えるだけでなく、埋めるべきスキルの空白や強化すべき強みを明らかにする。

 進歩的な雇用主は、従業員が適切な評価を得られるように適切な学習コンテンツを厳選し、適切な学習者に適切な学習を提供するためのインテリジェント技術を用意するだろう。さらに、この質問をパフォーマンス管理ソフトに組み込めば、全員に浸透するだろう。「あなたは何を学んだか」という質問は、次の評価に結びつく会話を導きやすい。

 このようにして自分のスキルや考え方を確実に、かつ一貫して向上させるには、そのための学習システムを自分で確立しなければならない。進歩的で革新的な企業文化があっても、学習の責任を果たせるのは、結局のところ学習する本人次第なのだ。

 そこで、私たち一人ひとりが個人として、スキルに関する好奇心を高め、常にアンテナを広げる必要がある。

 自分の最高のスキルは何か。現在の職務だけでなく、自分のキャリア全体にとって重要な、差別化できる真の強みは何か。スキルの空白はどこにあるのか。コミュニケーション、リーダーシップ、レジリエンスなどの抽象的な概念を、より具体的にするにはどうすればいいか。自分のスキルをどのように定量化し、調整し、説明するか。

 スキルは人材マネジメントの共通語であり、履歴書や職務記述書、学習コンテンツ、評価など、従業員のライフサイクルに関わるすべての重要な文書に反映される。私たちは個人としても組織としても、スキルに関するインテリジェンスを高めなければならない。

 学習者の手助けになるかもしれない方法は数多くある。いくつか例を挙げるが、けっしてこれだけではない。

積極的な学習習慣を身につける:習慣は行動から始まる。自分の性格やライフスタイル、仕事のやり方に合った行動を選べば、永続的な習慣に発展する可能性が高くなる。毎朝記事を読む、1週間の学習時間を決めておくタイムボックス法、月に1冊本を読む、夜に15分のジャーナリングなど、さまざまな行動がある。

意図のある練習でパフォーマンスを向上させる:伸ばそうとしているスキルを分解して、それぞれの構成要素を改善するために積極的かつ具体的な対策を考える。いつも同じことを繰り返すだけとは、対照的な練習になる。

・「学んだこと」と「学ぶべきこと」のリストを常に更新する:このリストを、現在の組織に在籍している間だけでなく、キャリア全体を通して維持する。シンプルなスプレッドシートでも、グーグルドキュメントでも構わない。重要なのは、何を、いつ、どこで学んだのかを網羅することで、それをどのように応用したかも(後から振り返って)記録しておくと理想的だ。このリストがあれば、「半年前には何を学んでいたか」といった、やっかいな質問にも答えられる。

2×2のマトリクス法を使って、いま取り組むべき適切なスキルを選択する:学習に多くの時間を割ける人はけっして多くない。新しいスキルを適用することで得られるメリットと、それを習得するためのコストを比較検討して、優先順位をつける。

 世界と職場は変わっている。私たちが力を発揮して成功するために必要なスキルも、それに合わせて変わっている。

 そこで求められているスキルに、より的確かつ鋭敏に焦点を合わせて、どのようなスキルかを理解し、積極的に、粘り強く、計画的に追求しなければならない。そのためには、自分や他人に聞いてみるのも一つの方法だ。あなたはどのように学習しているのか


"Identify - and Hire - Lifelong Learners," HBR.org, May 13, 2021.