Yagi Studio/Getty Images

コロナ禍でリモートワークが浸透し、チームが分散して働く場面は珍しいものではなくなった。組織や地理的な境界を超えて、多様なメンバーがプロジェクトに取り組むことには、創造性やイノベーションを促進するという大きな利益がある。だがその一方で、分散しているゆえの調整コストが生じることも事実だ。筆者らの調査結果では、分散型チームは成功するプロジェクトには効率的に取り組めるものの、失敗するプロジェクトを見限ることができず、リソースを無駄に消費していることが明らかになった。本稿では、分散したチームがもたらす利益を活かしながら、マネジャーがコストに対処するための方法を紹介する。


 この1年で、私たちは分散したチームで働くことに慣れた。しかし、オフィスに戻り、同僚と肩を並べて働くことができるようになりつつあるいま、実際にどれだけオフィスで仕事をすることになるのかと疑問を抱くのは自然なことだ。

 分散型チームワークの利点は十分に立証されている。企業は、組織や地理的な境界を超えてチームをまとめることで、メンバーの経歴、個性、能力の多様性を活用できることを示す研究結果は数多くある。

 この多様性は進歩、創造性、イノベーションを促進する。だがその一方で、コミュニケーションの問題や文化的な誤解、あるいはいつどこで会うべきかについての意見の相違が、調整コストにつながる可能性があることも同じ調査で認識されている。

 分散したチームの利益はコストを上回るのか、どのような状況であれば上回るのかを明らかにするため、筆者らはオンラインコミュニティに参加している5250のチームを対象に調査を行った

 チームの多くは異なる組織や地域に分散していた。このコミュニティのメンバーは、マイクロソフトやシスコなどの大企業を含むさまざまな組織で働いており、調査対象のチームは、インターネットの標準を確立するために自発的に集まっていた。

 調査結果は、驚くものだった。分散したチームは、分散していないチームに比べて効率的であることが明らかになった。ただし、それはプロジェクトの結果が成功した場合に限られていた。一方で、同じ場所にいるチームは、成功が見込めないプロジェクトを見限るのは早いが、成功したプロジェクトに取り組む際の効率が悪かったのである。