失敗の効率を上げる
分散したチームは、どのプロジェクトが成功する可能性が高いか、あるいは失敗する可能性が高いかを前もって特定するための支援が必要かもしれない。
また、よりよい調整の仕組みを導入することで、分散したチームがプロジェクトを断念する時期について合意できるようになる可能性がある。それができなければ、マネジャーが介入する必要があるだろう。
(1)プロジェクトの選別
分散したチームには、本当に成功する見込みの高いプロジェクトに専念するための支援が必要な可能性がある。
そのためにやるべきは、シナリオプランニングやリスクプランニング、プロジェクトの実行前に同僚やマネジャーにアイデアを提示すること、あるいはチームが事前に重要なアドバイスを求めることができる状況を設定することなどだ。
そうした対話によって、チームメンバーはプロジェクトが失敗する可能性があるという現実を受け入れ、失敗するプロジェクトを断念する準備ができるようになるかもしれない。
(2)同期的な仕事の仕方
分散したチームが時差を超えて調整する場合、異なる時間帯にプロジェクトに取り組むようにタスクを組み立てることが多い。
これは仕事の完了を容易にするもので、うまくいっている時は効率的だが、実際に仕事をしている時にコミュニケーションの機会が生じることはほとんどない。つまり、プロジェクトが失敗していることを示す問題を議論するのが遅れがちになる。
そのため、分散したチームは同期的な会話を可能にするために、稼働時間をある程度重ねてプロジェクトに取り組めるような仕組みを導入する必要があるかもしれない。
(3)マネジャーの介入
マネジャーは、プロジェクトの進捗状況を確認したり、プロジェクトがうまくいかなくなった時の指標を探したりできるように、同じ場所にいるチームよりも分散したチームをより綿密にフォローする必要がある。
また、分散したチームはプロジェクトがうまくいかなくなった時に、それを断念するのにより多くの手助けが必要な可能性がある。マネジャーが適切なタイミングで介入することで、分散したチームでも速い失敗が可能となり、リソースを迅速に解放して、新たなプロジェクトに投入することができる。
同じ場所にいるチームに関しては、マネジャーはどのようなプロジェクトに着手するのかに注意を払い、見込みの低いプロジェクト、すなわち多すぎる速い失敗にリソースを浪費しないようにする必要があるかもしれない。
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マネジャーは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが課した、分散型ワークという大規模実験の教訓について熟考するとともに、何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを慎重に検証する必要がある。
また、同じ場所にいることと分散していることは、相反するものではないことも忘れてはならない。プロジェクトの一部は同じ場所にいることが必要で、その他の部分では必要ではないかもしれない。
しかし、全体の設計がどのようなものであっても、プロジェクトマネジャーは、両方の働き方の欠点が適切に解決されるようにする必要がある。
"Research: Dispersed Teams Succeed Fast, Fail Slow," HBR.org, May 26, 2021.