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新型コロナウイルス感染症のパンデミックから1年以上が経過する中、オフィス勤務を再開する企業が徐々に増え始めている。ただし、出社を前提としたコロナ前の働き方に戻るわけではなく、在宅勤務やリモートワークを併用するハイブリッドワークが基本となるだろう。企業のリーダーは、ハイブリッドな職場をマネジメントするという難しい課題に直面している。本稿では、4つの重要課題に焦点を当て、それぞれの対処法を示す。


 新型コロナウイルスの感染が世界規模で拡大し始めて1年以上が経過した。

 世界のさまざまな地域では、人と人との物理的な接触が少しずつ再開されつつある。しかし、オフィス勤務と在宅勤務を併用するハイブリッドワークは、今後もなくならないだろう。多くの人は、リモートワークやバーチャルワークを続けることになる。企業幹部は、ハイブリッド型の組織をどのように構築し、それをどのようにマネジメントすべきかを、しっかり計画する必要がある。

 筆者らの研究チーム(株式上場企業の元CEOで現在は複数の会社で取締役会議長を務める人物、戦略コンサルタント、ハーバード・ビジネス・スクール教授などが参加している)は、企業幹部がこの課題にどのように取り組むべきかを明らかにしたいと考えた。

 筆者らは、北欧のいくつかの国に拠点を置く5つのグローバル企業でトップリーダーを務める38人にインタビュー調査とアンケート調査を行った。調査対象者の役職はバイスプレジデントからCEOまで、業種は製造業や一般消費者を対象とする業種などさまざまだった。この調査の狙いは、トップリーダーたちがハイブリッドな職場のマネジメントで直面している最大の試練はどのようなものかを明らかにすることだった。

 北欧企業のリーダーチームは、ハイブリッドな職場のマネジメントに関して極めて興味深い事例と言える。これらの企業のリーダーチームは、トップマネジメント層の国籍と母語が単一でないという、複雑で困難な環境で活動しているからだ。

 急峻な地形で自動車の試験走行を行うことで、その自動車の弱点が早期に見えてくるのと同じように、このような企業のリーダーに聞き取り調査を行うことにより、これまで企業が無視したり、隠したりしてきた難しい課題が浮き彫りになる。企業がハイブリッドワークの長期的慣行のモデルをつくるに当たり、リーダーは自社で表面化していない問題をあぶり出し、そうした問題を検討すべきだ。

 筆者らの調査を通じて浮き彫りになったのは、企業内に驚くべき緊張が存在していることだった。そうした緊張を適切にマネジメントするためには、新しいアプローチとスキルが必要とされる。

 本稿では、筆者らの研究を通じて見えてきたことに基づいて、ハイブリッドな職場の有効性を高めるために、リーダーが対処すべき4つの重要課題を指摘する。