●ガスライティングをやめて耳を傾ける

 ガスライティングは、自分の現状に疑問を抱かせる心理操作の一つで、職場ではさまざまな形がある。あらゆる人種の女性とあらゆるジェンダーの有色人種に対し、体系的な人種差別やバイアスのコンテクストを明らかにせずにインポスター症候群だと認めることは、間違いなくガスライティングの一つだ。

 筆者(ジョディ=アン)はこれを、見知らぬドアを開けようとして、繰り返し失敗することに例える。押すのか、引くのか、悩むかもしれない。ドアが重すぎるのか、ノブが滑るからなのか。ドアを開けるための問題解決が、いつしか自分の能力を疑うことに陥り、ようやくドアに鍵がかかっていたのだと気づく。

 同様に、常に疎外されているアイデンティティを持つ従業員が、ドアを開ける戦略を変えればよいとさまざまな方法を助言されることは、ガスライティングの一種だ。マネジャーはそのような助言をするのではなく、組織内の鍵のかかったドアについて、つまりバイアスゆえに存在する障壁について、説明責任を明確にすること。それが、アイデンティティを過小評価されているメンバーをサポートするために必要な信頼関係の構築につながるのだ。

 誠実さは双方向だ。従業員の話に、疑わずに耳を傾ける。マネジャーの仕事は、自分の影響力を利用して従業員のためにドアを開け、彼らのような人々のために開け放しておくことだ。

 ●有色人種の女性のスポンサーやメンターになる

 男性のキャリアを向上させるサポートや擁護、メンタリング、コーチングの役割がいかに大きいかということは、理解されていないものだ。

「ほとんどの男性は、職場に来た初日に、『私はCEOにふさわしい、CEOに必要なものをすべて持っている』と宣言するわけでない」と、チラジは言う。「彼らに自分を重ねる先輩たちが、彼らの自己肯定を強化するのだ。心理的に絶えず強化され、励まされることが男性の『自信』と『自己アピール』を育むことは、まったく理解されてこなかった」。男性、特に白人男性は、職場でそのような心理的強化を受けながら自信をつける。

 インクルージョンの文化を実現させるためには、より多くのマネジャーやリーダーが、有色人種の女性にも同じようなサポートと心理的な強化を提供しなければならない。成功するために必要なスポンサーシップを得られる環境では、そこが自分の居場所なのか、所属意識をどのように持てばよいかを考えるためにエネルギーを費やすことなく、成功できる可能性が高くなる。

 カーネギーメロン大学准教授のロザリンド・チャウ博士は、スポンサーシップの基本的な手順について素晴らしい提言をしている。重要なのは、管理職が女性や有色人種のメンターになるだけでなく、スポンサーとして支えるために、彼らを補強して、後押しし、結びつけて、守ることだ。