●インクルージョンに留意する

 非同期型の働き方は、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)に関して、利点と課題の両方がある。利点について、ニーリーは次のように話す。

「非同期型の働き方、特にフレキシブルワークは居住場所を問わず、移動も伴わずに人材を確保できるため、ダイバーシティの観点からも極めて重要だ。(中略)人材を雇用するルートがはるかに多い。エクイティとインクルージョンの観点からも、地元コミュニティから抜けることなく、そこに留まりながらも組織で生産性を上げることができれば、人々はより幸せを感じるだろう」

 必要なのは、リーダーがインクルージョンを尊重しつつ、思慮深くかつ意図的に行動することだ。ニーリーはこう続ける。

「今後の課題は、インクルーシブな文化と、分散型環境におけるインクルーシブなリーダーシップを実現するための筋肉を鍛えることだ。パフォーマンスをどう測定するか、人々をどうコーチングするか、組織についてだけでなくそのシステムの中でどのように成長し、リードしていくかを理解できるネットワークをどう構築するかということだ。これらすべてが促進されなければならず、そのために私たちはより優秀で、より強いマネジャーやリーダーになる必要がある」

 こうした認識を持ち、インクルーシブリーダーシップに関するトレーニングをマネジャーやリーダーに提供することで、より大きな成功に向けた非同期型の働き方への移行が可能になる。

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 未来の働き方は、さらに非同期的なものに向かい、従業員と組織の双方に多くの利益をもたらす。本稿で紹介した戦略を採用することで、従来の9時~5時文化からの移行を、より円滑かつ生産的に行うことができるだろう。


"Breaking Free from a "9 to 5" Culture," HBR.org, July 27, 2021.