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世界で20億人以上が小規模農家として生計を立て、そのうち40%の1日当たりの所得は2ドルにも満たない。所得を増やすには耕作地を広げざるをえず、それが深刻な環境破壊を招いている。世界中の人々に食料を供給するためには小規模農家の発展が不可欠だが、この悪循環をどうすれば断ち切れるのか。本稿では、ドイツのバイエルが主導した官民協働のパートナーシップ「ベター・ライフ・ファーミング」の成功事例をもとに、小規模農家が持続可能性と経済性を両立する方法を模索する。


 世界には約5億5000万の小規模農家が存在し、そこで生計を立てている人は20億人を超す。そのうちの40%は、1日当たりの所得が米ドル換算で2ドルにも満たない。

 こうした小規模農家は、多くの人が貧しくて栄養状態もよくないが、低・中所得国では人口の50%以上の食料を生産している。また、2050年には世界の人口が100億人に近づくと予測され、これだけの数の人に食料を供給するためには食糧生産を現在の1.5倍に増やさなくてはならない。そのための方策は、小規模農家を抜きにしては語れない。