
コロナ禍でリモートワークに強制移行させられたものの、実際のオペレーションが想像以上にうまく回っていることに驚くリーダーも少なくない。オフィスが再開しても、リモートワークを継続拡大したいという声が上がるのも当然だ。しかし、その恩恵を享受するには、組織設計を変える必要がある。特に多国籍企業の場合には、中核となるタスクの性質はもちろん、人材獲得の必要性や提供するプロダクトによって必要な国際化レベルが異なるため、どの方向に組織構造を変えるべきか吟味しなくてはならない。本稿では、国際組織が自社に適したハイブリッドワークを特定する方法を論じ、今後向かうべき4つの組織モデルを紹介する。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、予期せずオフィスから退避してリモートワークに移行することを強いられたにもかかわらず、グローバルなプレゼンスを持つ多くの企業は、自社のオペレーションが効率的かつ効果的に回り続けていることに気がついた。
情報処理やクライアントとのコミュニケーション、カスタマーサービスといったルーチンの業務や活動のデジタル化が、いっきに勧められた。従業員も日常の対面交流からオンライン交流への移行を大いに受け入れることができた。その結果、そうした国際企業のリーダーはいま、自社の組織モデルを再考している。
だが、リモートワークのスケール化には、機会と課題の両者が存在する。その恩恵を手に入れることができる組織は、競争優位を享受する可能性が高い。ただし、そのためには組織設計を変える必要がある。
それがどのようなものになるか理解を深めるために、筆者らは、こうした国際組織に関する研究、実際にリードした経験、さらに新たなデータを集約した。そして世界の誰もが名前を知る米国の多国籍企業を対象に、各社のシニアエグゼクティブ20人にインタビュー調査を行った。
対象となった多国籍企業には、高成長を遂げている新興企業もあれば、グローバルなプレゼンスが十分に確立された巨大企業も含まれる。また、元々のデジタル企業、急速なデジタルトランスフォメーション(DX)を進めている企業、物理的な製品を提供している企業も含まれている。
筆者らは、リーダーが自社の組織モデルをどのように考えているかについて検証を行った。そこにはどのような課題と機会があると予想し、どのようなモデルを採用しようとしているか。彼らは、事業のニーズと従業員のニーズの両方を考慮していた。
筆者らの研究は、トップリーダーが今後の組織構造をどのように考えているかを示すものだ。また、2つの新しいデザイン原則に基づいて、国際組織が検討すべき4つのユニークなモデルを提供している。