●国際市場に従業員が存在することの競争優位を評価する
筆者らが話を聞いたリーダーのほとんどが、グローバルな人材獲得戦争に言及するとともに、リモートワークは従業員を確保するうえで、かつてないレベルの柔軟性を組織にもたらしてくれたと語っていた。
これは、特殊なスキルや専門的なスキルを持つ従業員を確保することかもしれないし、一般的なスキルを持つ従業員を低コストで確保することかもしれない。
テクノロジーあるいは市場シェアを確保するために、企業買収を行う可能性もあるだろう。そうすれば、カギとなる人材を保持することができる。さらに、特定の分野に特化した有能な人材の集まるハブを新たに構築することが、組織の利益になる場合もある。
当然ながら、複数の国で従業員を抱えるのはコストがかかり、さまざまな複雑さも生まれる。
あるリーダーは、国によって雇用法や税法が異なるため、事務的な負担が大きくなると警戒感を示していた。これは、組織が複数の国で人材獲得を目指す中で過小評価されがちなコスト要因だと、そのリーダーは指摘した。
国際市場で必要とされるプレゼンスのレベルは、提供するプロダクトの性質によっても異なる。
ソフトウェアのように、グローバルなブランド認知度があり、営業販売や搬送、サポートをデジタルで対応できるプロダクトの場合、地理的に分散する必要はなく、中央集権型でオペレーションを行うのに適している。
これに対して、建築資材や生鮮食品のように、高額だったり、配布が難しかったりする物理的なプロダクトの場合には、たとえデジタルで営業販売することができても、各国の市場にある程度の物理的プレゼンスを持つことが必要になる。
企業はこの2つの検討事項に基づいて、従業員を限定的な数の国で持つべき(国際化レベルが低い)か、多くの国で持つべきか(国際化レベルが高い)を選択することができる。