国際組織の4モデル
筆者らは、組織のタスクコンテクストと国際化レベルを組み合わせ、国際企業が検討すべき4つの組織モデルを構築した。
それぞれについて具体的に説明するため、筆者らは、すでに各モデルを十分に実験している企業例を探した。さらに、それぞれのモデルは、インタビューを行ったリーダーが筆者らに語ったことを示しており、リモートワークの採用を加速することが、潜在的な組織モデルの幅を広げているという彼らの見解を反映している。
●大規模ハブ型(国際化レベル:低い、タスクコンテクスト:関係的)
このモデルは、オフィスが中心となる。従業員は専門的で知識集約型の、あるいはクリエイティブな活動を行うために、密接に連携する必要がある。
組織は、数カ国に大きなハブを持つ、密接した構造となる。こうしたハブでは、従業員が同じ場所に集まり、アイデアやイノベーションを生み出す。おそらく、知識が集約されることや優秀な人材が集まることで、恩恵が得られるのだろう。
ある程度のリモートワークは許容されるが、それぞれのハブに近接した場所に限られる。オフィスにおける物理的プレゼンスを通じて、頻繁にコラボレーションが行われることが期待されるからだ。
たとえば、設計事務所のように、高度な知識集約型の国際プロフェッショナルサービス企業は、主要ロケーションにあるそれぞれのハブに、エンジニア、図面作成者、デザイナーを集めるかもしれない。
筆者らが話を聞いたリーダーは、高度な知識集約型のクリエイティブ組織以外にも、このモデルを採用する姿勢を示している。
たとえば、ある大手グローバル自動車メーカーのITディレクターは、すでに自社の新しいシステム開発は中央組織で集約されておらず、ソフトウェアやプロダクトを開発するローカルの大規模ハブに移管されていると語っていた。
●ハブ・アンド・サテライト型(国際化レベル:高い、タスクコンテクスト:関係的)
このモデルも、オフィスが中心となる。世界各地に主要ハブを構えるが、少人数の知識労働者や各地域のスペシャリストが集まることにより、恩恵を得られるようにサテライトオフィスを併せ持つ。
たとえば、インタビューを行ったプロフェッショナルサービスファームのリーダーは、サテライトオフィスの活用によって、ローカルの専門性とグローバルな視点を組み合わせ、各地域のニーズに対応していると話していた。
この組織モデルは、高度に洗練された市場におけるイノベーションを、グループ全体で共有するために採用され、国際組織がコラボレーションとアイデア共有から恩恵を得ることを可能にするものだ。
ある大手オンライン広告会社のバイスプレジデントによると、同社はもともと大規模ハブ型だったが、各地域の人材プールにアクセスするために、世界中にサテライトオフィスを追加したという。
このモデルは「交流の大半は、対面でやるのが最善だ」という考え方を前提にしており、オフィスの大規模ネットワークを提供することで、それを円滑化する。大規模なハブと小規模のサテライトがあり、従業員全員がいずれかに簡単に通勤できる距離に居住している。