●日々の仕事に自分の強みを活かす

 ポジティブ心理学の研究者には、みずからの強みが喜びの促進剤になると言う人がいる。強みは天賦の活力源であり、それを日々の仕事に取り入れることで大きな後押しになる。

 最初のステップは、自分の場合はそれが何かを突き止めることだ。何からエネルギーを得られるかは、人によって異なる。次のように自分自身に問いかけてみよう。「最近、仕事をしていて、やる気が湧いたのはどのような時だろう。そうした時、自分は何をしていただろうか」

 自分の強みが明らかになったら、それを日々の仕事にどう取り込めるかを考える。

 たとえば、新しいアイデアを思いついた時に心が躍る人は、どうすればそうした機会を増やせるか。あるいは仕事の細部にまで集中して取り組んだ結果、やることリストから重要なプロジェクトを消去できた時に元気が出るという人は、誰にもじゃまされない時間をスケジュールに組み込む方法を考えるとよいだろう。

 たとえ30分でも自分の強みを発揮できれば、その後の1日が変わる。

 あるクライアントは、戦略的思考が自分の大きな強みの一つであることに気づいた。将来や長期的な機会について考えを巡らせることが大好きなのだ。

 しかし、コロナ禍が長引くにつれ、日々の忙しさに追われて、そのような考え方をする余裕がなくなっていることが気がかりだった。彼女は、自分が急ぎの細かいタスクを処理することに終始している気がしていた。

 そこで、1週間のスケジュールの中で2時間、戦略立案を行う時間枠を設けた。自分一人で考えることもあれば、チームで議論することもあった、このわずか数時間のおかげで、彼女は活力を取り戻した。そうした戦略立案の時間だけでなく、週を通じて仕事の喜びが増したという。

 ●自分自身の成長に注力する

 この間、会社を守り、相手を支援することに多くを捧げてきたことで、自分自身の能力開発は後回しになっていたことだろう。しかし、人を導く立場にある人ができる最善のことの一つは、自分の成長に時間を費やすことだ。

 子どもの学習方法に関するエスノグラフィー調査によると、学習の喜びは、努力の結果として生まれる。つまり、困難を乗り越えて粘り強く努力したことで、意味のある目標を達成できた時に得られるという。

 これは、筆者のクライアントである大人を見ていても変わらない。重要な目標に向かって懸命に努力し、勇気を持って障害を克服することで、仕事での学習欲求が満たされ、仕事に対する情熱が蘇るようだ。

 どのような瞬間に仕事で喜びを感じるのかと質問すると、クライアントが語るのは、さまざまな学習体験についてだ。

 たとえば、専門スキル向上のための短期集中型オンラインコースに参加したことや、課題やアイデアを共有する幹部候補集団の一員になったこと、あるいは重要なリーダーシップ目標を達成する一環としてバーチャルリーダーシップコースで3カ月間猛勉強したことなどだ。