●企業が自社の文化を変革するための措置を講じた
まだやるべきことは多いが、一部企業は自社文化の変革を進めた。これは、コロナ禍に後押しされた部分が大きいだろう。
自社において、メンタルヘルスが他の問題よりも優先されるようになったと答えた人は54%(2019年は41%)に上った。さらに、回答者の47%(2019年は37%)が、自社のリーダーは職場におけるメンタルヘルスの問題を重視していると答えている。
また、従業員にメンタルヘルスの問題が生じ、何らかの症状を抱えるようになった場合、マネジャーはそうした従業員を支援する準備ができていると答えた人も、47%(2019年は39%)に上った。どちらも、研修や議論が増えた結果だと考えられる。
しかしながら、こうした意識の向上は、全面的な変化には驚くほどつながっていない。同僚のメンタルヘルスを快くサポートできると答えた人は5%減り、職場でメンタルヘルスのサポートを得るための正式な手続きを知っていると答えた人の割合も前回と変わらなかった。
●職場におけるメンタルヘルスを支援することで、企業には利益がある
コロナ禍や人種的不正義、出社再開計画、さらにはメンタルヘルス全般について従業員をサポートしてきた企業は、実際のメンタルヘルスとエンゲージメントに関する結果も好ましいものだった。
たとえば、会社でメンタルヘルス全般をサポートされていると感じる人は、そうでない人と比べて、この1年間にメンタルヘルスの症状が少なくとも一つあったと答える割合が26%も低かった。
会社にサポートされていると感じる労働者は、メンタルヘルスの症状を経験したり、能力を発揮できなかったり、仕事を休んだりする割合も低く、職場で自分のメンタルヘルスについて気軽に話せる傾向が強かった。加えて、職務満足度が高く、その会社に留まろうとする意欲も高いという結果が出ている。
また、会社を信頼して、そこで働くことを誇りに思うなど、自社とリーダーをポジティブに評価していた。このことは、職場文化と、職場におけるメンタルヘルスを支援する能力との結びつきを意図的に強化できることを意味する。