自分の「マインドトラップ」を特定する
人間的なリーダーになることへの恐怖は、筆者が「マインドトラップ」と呼ぶ、旧来の思い込みと期待に根ざしている。
私たちはみな、自分の中にさまざまな声を抱えていて、それが自己意識や他者意識、あるいは世界観を形成し、私たちの行動に影響を与えてきた。これらは、たとえば親や教師といった他者の声だけでなく、宗教的価値観や社会的価値観のような集団意識やステレオタイプ、そして周囲の環境がもたらす規範もある。
こうした声は、私たちの視点を形づくるだけでなく、特にトラウマを生じるような出来事と関連づけられることで、脳の構造にまで影響を与える場合がある。
チャーリーのマインドトラップは、わずかな知識のギャップも小さな感情のかけらも、大失敗と結びつけてしまうことだった。当初は、そのマインドトラップのルーツがどこにあるのか、彼自身も忘れていた。しかし、やがてビジネススクール時代の出来事を思い出した。授業でプレゼンテーションをすることになった時のことだ。
チャーリーは極度の緊張から、プレゼンテーションでうまく喋ることができなかった。すると教授はクラスメートの前で、チャーリーが緊張していること、そしてプレゼンテーションがお粗末だったことをあからさまに嘲笑した。
さらに、自信と専門知識を前面に出して、自分の感情を切り離さなければ、ビジネスの世界では絶対に成功できないと、全員に向かって言った。チャーリーは屈辱を味わい、教授の言葉を内面化した。
私たちのほとんどは、目に見えるか否かを問わず、マインドトラップに苦しみ、その恐怖から自分を変えることができない。しかし、幸いなことに、私たちはそこから自分自身を解放することができる。