アンラーニング
アンラーニングとは、安全で慣れ親しんだものを手放し、新しい未知のものに置き換えることだ。いまの自分をつくり上げたスキルや行動が、実は目指す自分になることを阻んでいる可能性がある。
たとえば、リーダーは会議では最初に話すという自分のデフォルトをアンラーニングする必要があるかもしれない。また、新任マネジャーは、仕事量が増えても常に「イエス」と答えることをアンラーニングすべきかもしれない。
パンデミックの間、私たちは皆、仕事でのコラボレーションの仕方や子どもたちの学校のあり方など、生活の一部でアンラーニングせざるを得なかった。アンラーニングは不安に感じるかもしれないが、私たちはこの数年で、自分たちの適応力を再確認することができた。以下は、アンラーングを仕事に積極的に取り入れるための3つの方法だ。
●対立する人とつながる
私たちは問題や機会を新しいレンズで見た時、アンラーニングを行う。これは、自分に異議を唱える人や、考え方の異なる人とともに過ごすことで起こりやすくなる。対立する人とつながる目的は、同意したり、議論したりすることではなく、耳を傾け、「この人から何を学べるだろう」と考えることだ。
何らかの形で、自分とは「正反対の経験」をしている人を探そう。たとえば、あなたが大規模な組織に所属しているなら、自営業の経験しかない人を探す。あなたが25年の経験を持っているなら、駆け出しの人を探す。
自分とは異なる選択をしてきた人や、異なる専門分野を持っている人の中から、新たなチャレンジの源を見つけやすい。「あなたなら、どうやってこの課題に取り組むか」「この状況は、あなたの経験ではどうだったか」と尋ねることは、別の視点を探るよい方法だ。
●習慣や欠点を見つける
誰しも現在の自分に導いた習慣を持っている。しかし、習慣が盲点をつくり、それによって異なる行動様式や新しいアプローチを見出すことをやめてしまう可能性がある。私たちの脳は習慣を利用して思考の近道をつくるが、そのために熟考したり、自分の無意識の反応をアンラーニングしたりする機会を逃してしまうこともある。
毎週実行している行動や活動をすべて書き出して、「習慣トラッカー」を作成しよう。その中から3つの習慣を選び、意識的にそれをアンラーニングして、新しい仕事のやり方を試してみる。
たとえば、習慣的に会議を設定している人は、他の人に任せてみる。習慣的に問題を解決しているなら、まずは他の人の意見を聞いてみる。みずからの習慣を試すことで、自分の行動に対する意識を高めることができる。
●「駆り立てる質問」をする
「駆り立てる質問」は、現状をリセットし、異なる方法を模索することを促す。「私たちはどのように~するだろう」「私はどのように~できるだろう」「もし~だったらどうなるか」というものが多い。
こうした質問は、既存の知識が、新たな可能性に想像を働かせる力を制限することを防ぎ、私たちを未来に推し進め、現在における前向きな行動を促進する。
駆り立てる質問を実践するには、誰かとペアを組み、質問と回答を交互にするのが有効だ。以下の5つの質問から始めてみよう。
1. いまが2030年だと想像すると、あなたの業界で起きた3つの大きな変化は何か。
2. あなたとロボットで、あなたの役割をどう分担するか。
3. 組織の規模が2倍になったら、あなたのどの強みが最も役に立つか。
4. もしあなたの業界が一夜にしてなくなったら、自分の才能をどのように応用できるか。
5. 明日、ビジネスを再構築するとしたら、あなたは何を変えるか。