●インスタントメッセージのプラグイン

 プラグインを利用すれば、スラックのようなアプリを効果的にスローダウンさせることができる。毎日大量の猫のGIFや拡散するポップカルチャーを見たり、共有したりするサイクルから抜け出し、インスタントメッセージング・プラットフォームをより非同期的に使うようになる。

 情報過多から逃れたい人は、マストリードのプラグインを使えば、同僚にタグ付けされたメッセージだけを表示できる。ルーツのオートレスポンダーは、自分が現在不在中であることや、いつオンラインに戻るかを他のスラックユーザーに知らせ、必要に応じて用件の連絡先などを提示する。チームスタンドアップのようなプラグインは、毎日のスタンドアップ(メンバーの状況や進捗を共有するための会議)のようなルーチンの重圧を軽減し、その日の仕事量を好きな時にボットを使って答えられる。

 ●メール

 ブロックサイト、フリーダム、インボックスポーズなどのプラグインは、絶え間なく押し寄せるメールを一定時間ブロックしてくれる。クイックコンポーズのようなGmailのプラグインを使えば、メールを書く必要がある時にメール作成ウィンドウだけが開くので、無関係なメールに気を取られて、本来の目的から逸れるのを回避できる。

 ●P2

 世界中の組織でリモートが当たり前になると、リモートワークを実践するためのツールに新しい波が起きてもおかしくない。そのようなツールの一つである「P2」を提供しているのが、オートマティックが提供するワードプレスのチームだ。

 同社はP2を、チームがオープンかつ中断されることなく、情報共有、議論、共同作業を行うためのプラットフォームとして位置づけている。「P2での会話はインラインでなされ、リアルタイムで更新され、スレッド形式で返信できるスペースが用意されている」と、オートマティック創業者のマット・マレンウェグは言う。P2は、プロジェクトにおけるコラボレーションと、リモートで採用した人の研修に利用されている。

 いずれにせよ、デジタルツールの導入が効果を発揮するかは、それを使う側がどれだけ効果的に活用できるかで決まる。DXのいかなる取り組みも、マネジャーと従業員の足並みが揃わなければ成功は望めない。

 リーダーは、「リアルタイムで返信しなくてもいい」「会議の依頼を断ってもいい」「通知をオフにしてもいい」「1日中オンラインでなくてもいい」ことを従業員に伝えながら、模範を示すことが必要だ。それらを実践することで、世界的に慢性化する職場のストレスやエンゲージメントの問題に対処するチャンスを従業員に与えるだけでなく、人材獲得競争に勝利することができる。それは企業の収益にプラスだけをもたらす。


"Remote Work Should Be (Mostly) Asynchronous," HBR.org, December 01, 2021.